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96交通権レポート第1回

『災害に負けない、ともに生きる街を』
〜阪神大震災を障害者の視点から検証〜

===「秋の講演会」に106人参加===

 前回のレポートでお知らせした交通権を考える連絡協議会の取り組みの一つ「秋の講演会」が、災害に強い『街づくり』をめざして、昨年の阪神淡路大震災を体験されたお二人をお招きし、去る1995年11月26日(日)、「かでる2・7」4階大会議室に於いて開催されました。
 講師のお二人を改めてご紹介し、当日の模様をレポートいたします。お二人が用意してくださいましたレジュメは次回のレポートで、、、。では。

プログラム
13:00  開会
         開会あいさつ    後藤 昌男会長代行
13:30  講演会
15:07  休憩
15:22  討論
         フロアーを含めてフリー・ディスカッション
16:55  まとめ
         閉会あいさつ    我妻 武副会長
17;00  閉会

『講師紹介』
◎横須賀俊司さん :テーマ『阪神・淡路大震災とまちづくり』
(ヨコスカシュンジ)
          四肢麻痺の重度障害を持ちながらも自立生活を送り、大学
          で講師をされている。今回の大震災で自らも被災され、現
          在も仲間たちと生活の復興に向けて奔走中。
          聖和大学非常勤講師。兵庫県西宮市にある、障害者の生活
          に関する全ての問題に取り組む「メインストリーム協会」
          に所属して活動。当協会は、この度の震災で事務所全壊の
          被害を受けたが、現在は復興して活動を再開。

◎中内 福成さん :テーマ『災害時における障害者の緊急対策を願って』
(ナカウチヨシシゲ)  =阪神・淡路大震災時の障害者支援活動を通して=
        大阪堺市にある障害者共同作業所の責任者。阪神大震災が起こ
        った直後に、「兵庫県南部地震障害者連絡会合同対策本部」が
        設置された副本部長として、全国からの支援の募金・物資・ボ
        ランティアの窓口として2月末まで活動。7月にこの間の活動
        を通して、被害の実態とあわせて活動状況についてまとめた報
        告集を発行。

==========(交通権を考える連絡協議会会報第12号より)==========

 ここ数年、大規模な地震による被害が多発している中、地震の多い私たちが住むこの北海道で「阪神大震災」クラスの地震が起きたらどうなるのだろうと、多くの方々が不安を感じています。
 被災地の傷跡も癒えない兵庫県西宮市に在住の頸椎損傷で四肢麻痺障害者の方と、隣接都市大阪で救援活動のセンターを設置した「共同作業所」の方の二名を招いて、11月6日(日曜日)午後1時から5時まで『災害に負けない、ともに生きる街を』のテーマで、「かでる2・7」を会場に106名の参加を得て開催されました。参加者は、障害を持った人だけでなく建築家や行政関係者など幅広い層の分野から、札幌を中心に遠くは旭川、苫小牧などからもわざわざ駆けつけて、4時間にわたって熱心に講師の話に耳を傾け、討論に参加していただきました。

☆ 震災を障害者の視点から

 私たちは、常日頃「障害者に優しい街づくりは、全ての人々に優しい街づくり」という考え方のもとに活動を続けてきました。これまで、阪神大震災を教訓として今後の社会づくりを考える企画は沢山ありましたが、障害者の視点から見つめる企画は私たちの周囲にはありませんでした。災害が発生してから、4ヶ月後の総会を機会に「被災した現地の障害者の方の話を聞きたい」という思いがつのり、私たちの会としては少々背伸びした大型企画となり、企画の中身を検討するうち「障害者だけでなく、視野を広げてこの問題を考えてみたい」という欲も働き、ついに2名も講師を兵庫と大阪からお呼びすることになりました。

☆ 被害は一部の人に集中

 講師の横須賀俊司さんは、自らの被災体験を通して「阪神・淡路大震災とまちづくり」と題して話をされました。横須賀さんは「地震後、震度7に耐えうる、、云々といわれるが、それは間違いだ。震度7以上に耐えられる、、、でなければならない」と前置きした上、で被害状況の調査資料を示しながら「障害者や高齢者など一定の階層に被害が集中している。高齢者はその中でも最大の被害が集中している」と話されました。この地震を障害者の視点から整理すると今まであまり考えたことの無かった沢山の問題が整理されたようです。例えば肢体不自由障害の場合、行動がとりにくい為に地震後しばらく閉じこめられたままになっていたり、避難所には段差があったり生活ができずに危険な倒壊寸前の家に帰らざるを得ないケースも多かった。聴覚障害者の場合、連日流されるテレビの画面に字幕放送がされなかったために、一地域の悲惨な状況が全体的なものと錯覚するなど恐怖心をいたずらにあおる結果になったり、正しい情報が提供されない事態が続いた。

☆ 縦割り行政の弊害が露呈

 また、行政の対応についても多くの問題点を指摘しました。縦割り行政の弊害がこうした非常事態の中でも露呈し、土木課がすぐに地域の実情調査に入って、家屋の状況を把握している、福祉課が事態調査に来たのは3月中旬になってからだった。県の「福祉の街づくり条例」の対象から学校が除外されている。その理由は、公共施設は誰でも使えて当たり前だからあえて明文化する必要がないというのが言い分。しかし、この度の避難所は障害者を受け入れない公共施設だったのは、どのように説明するのか。最後に、近隣住民や障害者団体間の日常からの関係づくりとこれをサポートする行政の働きによるコミュニティーづくりが、こうした緊急時に力を発揮することになる。そのためにも、障害者団体の運動の活性化が重要だと呼びかけました。

☆ 災害支援の全国センターを設置

 もう一人の講師の中内福成さんは、障害を持つ子供の親として会社を退職して現在の「障害者共同作業所」を開設したいきさつを紹介したうえで、災害発生時に共同作業所全国連絡会との連携で神戸に支援に入った当時の状況を、その後に報告集をまとめれれた資料をもとに生々しく伝えてくれました。そして、ボランティア活動の中で得た障害があることによって受ける多くの実態について、避難所・家庭・共同作業所のそれぞれの生活の場所での問題を整理して話してくれました。避難所での集団生活になじめない知的・精神障害者の例や、医療機関との連絡がとれないために服薬のコントロールが出来なくなって病状が悪化する内部障害者の例など。移動が不自由なために家庭で孤立している障害者の実態。無許可のために、行政から冷たく切り離されている小規模作業所の困難な復興活動。また今回の活動を通して、大阪には障害者運動のセンターがあったから機敏な支援活動に立ち上がれた事実をあげて、拠点としての機能が存在することの重要性を述べました。また、今後の運動の課題として「基本的人権を守るという原点を大切にする運動。緊急時の障害者の救援対策を制度化する。団体に所属しない障害者を視野に入れた活動など」の7点を示し「非常時に備えて、今、暮らしやすい街づくりを急がなければならない」ことを強調しました。

☆ 雪国の大地震はもっと悲惨

 お二人の講演の後で活発な討論が行われました。ある建築家の方は「あの規模の地震がこの北海道であの時期に起きていたら、寒さに加えて積雪による移動の困難性などが加わりもっとひどい状況になっていたと思う。日頃から地域の関係づくりを重視したコミュニティー形成に努力しなければならない。その作業に建築家としての関わりを今後ももっていきたい」と述べ、ある視力障害の方は「私たちは日頃から慣れた道しか分からない。緊急時の避難所には到底一人ではいけない。ましてや、避難器具や消火器の使い方も知らない。自治体が日頃から障害者をよく把握しているとか、町内会にその情報を提供しておくとかのコミュニティーとしての支援体制の整備が必要だ」などと発言されました。
 会では、今回の講演会を単なる講演会に終わらせないで今後に有効に生かすために企画を考えていますが、当面、札幌市や消防関係者との「懇談会」を計画していく予定です。

☆ 参加者の感想 ☆

いざというときのコミュニティー作り・・・・・・・・菊池 信

 去る11月26日、午後1時から、かでる2・7において「災害に負けない、ともに生きる街を」と題して集会が行われた。普段は「交通権」の活動にはほとんど参加していない私だが、あの震災のことを思うと障害を持つ立場でのこういう講演を一度は聞いておこうと参加した。講演は「メインストリーム協会」の横須賀俊司氏と、震災に際し障害者の救援活動の全国的窓口となった中内福成氏のお二人。4時間にわたる集会の中で、日頃から地域との関わりをいかにして作っておくか、コミュニティ作りが障害者にとっては特に重要であるということを考えさせられた。日本人は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のが得意だが、「天災は忘れた頃にやってくる」この集会で学んだことを無駄にしないようにしたいと思う。

震災に備えた地域作りを・・・・・・・・・・・・・・橋本 澄子

 「交通権を考える連絡協議会」主催による、横須賀俊司さんの「阪神・淡路大震災とまちづくり」のテーマの講演を聞かせていただきました。横須賀さんご自身が、四肢麻痺の重度の障害をお持ちの方ですが、とても力強く、被災体験、行政の対応の違い、障害者の方達の取り組みなどを淡々とお話をして下さいました。お話を聞きながら、もし、震災が、この北海道で起きたならと、置き換えて聞いていました。雪国での震災ならば、寒さと、確実に障害者の方達の交通が、孤立状況に追い込まれてしまいます。社会保障、社会福祉の乏しいのは、北海道だけではありませんが、お話の中にも、何度も繰り返されてできたコミュニティづくりは、本当に、普段の生活の中から作り続けられ、普段からの地域づくりとして、皆で、考えていかなくてはならない大事なことだと思いました。横須賀さんと同行された中内福成さんも、被災された方達の救援活動、今も、復興活動に奔走され、共に頑張っておられ、お二人の力強さを感じました。震災によって、残された課題はたくさんあると思いますが、健康に注意され、頑張っていただきたいと思いました。


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