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アピア(JR札幌駅の新しい地下街)点検報告

 オープンから1ヶ月経った、アピアを先日(11月3日)再点検しました。
 オープン直後の札幌市及び工事関係者との合同点検で指摘した箇所の状況調査と点検漏れが無いかを再点検する目的でした。
 今回特に気になったことを何点か挙げて即席の報告とします。

気になった所

1.広い地下街にトイレがたった二ヶ所しかない。

  この地下街では従来「車椅子トイレ」といわれていた、障害者対応トイレを『多目的化粧室』と表現し、「誰でもお使い下さい」と謳っている。その考え方はいいと思うし、設備も平均以上だと評価できるが、まだ不足しているものも見受けられた。
 それは、まず、赤ちゃんのおむつを交換できるようにはなっていない。荷物置きの台すら無い。鏡の取り付けが相変わらず斜め下向きに付けられている。などなどです。

地下街の「多目的化粧室」

これがいわゆる車椅子トイレ『多目的化粧室』です。

「多目的化粧室」の斜め下向きに取り付けられた鏡「多目的化粧室」小便器も一緒に設置されている

斜め下向きに取り付けられた鏡、小便器も併設されているが、荷物置台がない。

 ちなみに一般トイレはもう一ヶ所あります。この『多目的化粧室』は広い地下街の東西両端に設置されていて、歩行に時間のかかる人も苦労するでしょう。

トイレの位置標示、上の方で気がつかない

 それと、トイレの位置標示が本当に見えない。一ヶ所はトイレ方向へ曲がってから初めて標示が目に入る。もう一ヶ所の標示は通路を歩いていてまっすぐ見ていては目に入らず、天井直下にそれも側面に付けられているため、左右そして上を見ながら探さなければ見つけられない。
 煙草の自動販売機と喫煙所の標示がすぐ近くにあったが、これはとても見やすい位置に付けられていたのがなんとも皮肉でした。



天井直下に付けられ、
非常に分かりにくいトイレの位置標示


2.点字ブロックの表示方法と設置が非常に不完全。
 点字ブロックの表示方法については、マニュアルも作られていて、それに基づいて行えばそれほど難しいことはないと思われるのに、非常に 不完全で、注意表示が誘導表示にすべきところに使われているなどの初歩的なミスや、停止の標示が不完全で危険。東西方向の通路には点字ブロックそのものが設置されていないなど、もう言語道断と言えるほどの不完全さです。
 多目的化粧室の入り口近くにトイレの案内板があり、親切な点字も併用されていました。が、視覚障害の方が、この案内板の存在に気がつくことはおそらく不可能です。そのような案内板がもう一ヶ所、地下街全体の地図にも付けられていましたが、これも同様にその存在は健常者のみが分かるものです。その案内板への誘導が一切無いからです。

3.床材の使用に難点。
 最初の点検で指摘し、改善を約束されていたはずの、「太陽の広場」の床材(モザイクようのタイル)が、車椅子や乳母車にとって非常に振動が激しいという指摘に、改善が約束されたが、まだ凸凹が直っていない。
 当日も車椅子で、膝に買い物の紙袋を二つほど積み上げて通行されていた方を見かけたが、振動で膝の荷物がすぐづり落ちて苦労しているようだった。乳母車をおした若い夫婦が何組も通っていたが、赤ちゃんは何にも言わないから、気がつかないのでしょう。

4.最後に地下鉄開業以来
ずーっと指摘され続けた、地下鉄とJRとの連絡エレベーターの問題が、この新しい地下街の完成で解決されるとの期待は非常に残念な結果になりました。
 地下鉄の出口からまっすぐJRの入り口に向かういわばメインロードとでも言うべき通路が、凸凹のモザイクタイルで舗装され、点字ブロックの敷設も不完全、点字付きの案内板への誘導もなし、まっすぐJR札幌駅やパセオへも階段が有って車椅子では直行できないなど、基本的な問題点は大部分未解決のままと言っていい状況です。
 これらの問題点はもう少し、具体的な場所も指摘したうえで再度改善を申し入れる予定です。要望書が出来上がったらもう一度ご報告いたします。

点字ブロックの誘導先は工事用フェンス不完全な点字ブロックの使用例

誘導先には工事用のフェンスが在ったり、停止標示と誘導表示の誤用があったり、
点字ブロックの施工には問題が多すぎます。


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