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第3回『交通権110番』レポート

 今年で3回目を迎える「交通権110番」、例年秋頃に行っていましたが今回は「冬の街点検」と組み合わせ、電話で指摘があれば直接出向いて点検もしてしまおうという企画でした。
 1月16日の第1回目の打ち合わせから、役員会を含め5回の会合を重ねてようやく実施に漕ぎ着けました。会場の選定などでちょっと躓きがありましたが、今回も札幌市、北海道の後援、NTT北海道支社さんの協力をいただき、実現しました。
 できる限りのPRをしようと、道内の養護施設や障害者関係の学校,病院、各地の福祉協議会などのほか、マスコミ関係へもポスター、チラシを郵送し、なおポスターの掲示など精一杯の努力を重ねました。
 さて、初日は時間前からTV局二社の取材を受け、お昼のニュースに流してくれるという話しに期待をして受け付け開始。
 今年は例年にない豪雪のせいか、除・排雪に関連した訴えが多く、バス停、交差点、エレベーターへの入り口等、全てに除・排雪の徹底を望む声が目立ちました。
 3回目を迎えて、相談件数が40件と減少しました。1回目が53件、2回目が55件ですから、3回目にして減少したのは運動の成果(?)ということはないはずですから、逆にあまり成果が上がらないゆえの失望からなのでしょうか。
 地道な活動で、目に見える成果を上げられないのは会の非力故ですが、息長く続ける以外にないでしょう。
 今年の特徴として、ボランティア体験者からの声が数件寄せられた事もあげられます。


具体的内容の紹介と分析

相談受付件数(2日間):40件

◎相談者の内訳
性 別:件 数 障害種別:件 数
女  19 肢 体  23 
男  18 視 覚   7 
不明  3 内 部   2 
 不 明   1 
 その他   7 

◎相談内容の内訳(延べ件数)
   種 別 :件 数 
道 路 15 バ ス 10
JR   4 タクシー 8 
地下鉄  9 制 度  9 
その他 12 合 計 67 


☆具体的な相談内容(要約)

◇道路:延べ件数=15件
 歩道、交差点の除・排雪の徹底を望む声が圧倒的に多く、次いでせっかくのエレベーターや障碍者用トイレも出入り口の除雪が悪くて利用出来ないなどの声も多かった。
 ロードヒティングの普及に伴って、境界に出来る段差の問題も多く出されるようになってきました。今年は特に段差が酷いようです。
 歩道が狭い上に、電柱が歩道上にあったり、自動車が歩道に乗り上げて止めてあったりで、非常に歩きづらい(視覚障碍)

◇バス:延べ件数=10件
  ・リフト付きバスを走らせてほしい
  ・低床バス、あるいは補助ステップをつけてほしい
  ・行き先の音声案内を(旭川),各地のバスターミナルに音声案内
   の再開を要望しているが、予算がないと言うことで再開されてい
   ない(札幌)
  ・定山渓(温泉地)からのバスにシルバーシートを設置してほしい
   (温泉客でいつも満員で年寄りが座れない)
  ・時刻表の位置が高く、小さくて見づらい
  ・ウィズユーカード(札幌市営交通のプリペイドカード)に障碍者
   用を出してほしい。子供用を使っているが、あるバスの運転手に
   子供用は使えない、大人用を使うようにと言われた。

◇JR:延べ件数=4件
  ・せめて急行停車駅には身障者用トイレがほしい
  ・北広島駅のホームへのエスカレーターは狭くて、杖歩行では危な
   くて利用できない。エレベーターを設置してほしい
  ・札幌駅だけエレベーターを設置しても、他の駅から行かれないの
   なら利用できない。もっと他との連携も考えてほしい

◇タクシー:延べ件数=8件
 運転手さんの対応への苦情が相変わらず多い。制度の充実を望む声も一段と多くなっています。
  ・割引制度の利用は、手帳の提示だけで出来るようにしてほしい
   自分で記入できない(視覚障碍、肢体障害)
  ・特に冬はタクシーが唯一の交通手段で、チケットがすぐなくなる
   もっと増やしてほしい
  ・リフト付きタクシーの介助料が高い(1、500円)、助成してほしい

◇地下鉄:延べ件数=9件
 地下鉄そのものと、地下鉄へのアクセス問題とに分けられるが、共に期待が大きいために、注文も多いようです。
  ・エレベーター入り口付近の除雪を徹底してほしい。ロードヒーテ
   ィングとの境界の段差が大きすぎて危ない
  ・エレベーターが元気な人たちに先を越されて、老人や障碍者など
   弱者が後回しにされ、利用しづらくなってきた,弱者優先の表示
   などを工夫してほしい
  ・地下鉄駅のトイレをもっと利用しやすく、わざわざインターホン
   で呼ばなくてもよいように、カードなどを利用して出入りできる
   ようにするなど、、

◇制度:延べ件数=9件
 各種の割引制度の拡充と共にもっと使いやすくしてほしいとの声も多く寄せられました。
  ・割引乗車証への記入をしてくれない運転手さんもいるので、手帳
   の掲示だけで利用できるようにしてほしい。制度の周知徹底を
  ・ウィズユーカード(札幌市営交通プリペイドカード)に障碍者用
   もほしい
  ・リフト付きタクシーの介助料に補助を
  ・タクシーチケットの枚数増と金額の増額を
  ・電動車椅子の冬用タイヤも助成の対象にしてほしい
  ・シルバーシートのない路線バス(定鉄バス)がある。通院のため
   に長時間の乗車で座れないのは辛い。是非もうけてほしい

◇その他:延べ件数=12件
  ・各地、各所に身障者用トイレが増えてきたが、まだまだ使いづら
   いものが多い、また通路が塞がれて使えなかったりする事も多い
  ・自宅前の通路を確保したいが、除雪などはどこに要望したらいい
   のか分からない
  ・JR桑園駅から市立札幌病院への通路、点字ブロックの設置に連
   携がなく、初めてでは立ち往生してしまう危険がある

◇点検報告:JR北広島駅
 現在新築工事中の北広駅を実地点検してきました。「110番」2日
目、2月25日(日)一番最近の工事の結果はどうなのか,電話も2件
ほど入っていたので車椅子3台を連ねて出かけました。
 途中、最近障碍者対応を始めたとの話しを聞いて、「ビックリドンキ
ー」というレストランで、昼食を摂り、ついでにトイレなどを点検。
民間業者の店としてはまあまぁ、との評価が出ました。
 さて、本命の北広駅。西口と東口があり、西口?にはスロープがあり
ます。しかしとても長ーいスロープで、おまけに傾斜の急なこと、少々
の力では独力では登れない。途中にカーブもありました。
 おきまりの自動券売機、車椅子用トイレ、公衆電話、改札口と点検を
しました。
 ・自動券売機:ボタンの位置が高すぎる。特に呼び出しボタンが一番
  上にあるので車椅子の人には届かない。どこも同じだが、車椅子で
  正対しては側に寄れないので苦労します。
 ・車椅子用トイレはほぼ合格。出来れば入り口から真っ直ぐに便器が
  設置してあればもっとよい。
 ・公衆電話:車椅子では使いづらい。位置が高く、車椅子では近くま
  で寄れない。
 ・改札口は駅事務室と接してゲートのない通路になっていて、車椅子
  でも楽に通れます。
 ・ホームへのアクセス:これは電話相談にもあったように、エスカレ
  ーターしかない上に、狭いので車椅子だめ、杖などの歩行者も危険
  と言うことで、ホームへ行くのはちょっと大変。せっかくの新築駅
  どうにかなりませんか。

○駅員さんに話しを聞きました
  平成11年完成予定。駅構内へのアクセス路の跨線橋は、地元区画
  整理事業によるもので、この部分にはエレベーターが設置されるこ
  とになっている,とのこと。
  旧駅舎を取り壊した後にも駅舎を拡張する事になっていて、現場と
  してはその時にホームへのエレベーターの設置を要望しているが、
  予算があるかどうか?と言うことで、地元自治体との絡みもあると
  のことでした。早急に広島町、JR,運輸局等に要望を出さなけれ
  ばと思います。


 直接交通権の運動とは関係ない相談も2件ほどありました。中途失明者と、吃音に悩む男性からでした。いろいろな情報から疎外されがちな中途障碍者は相談する相手すら分からないと言う悩みを持っていることが分かります。
 今までどうしても札幌が中心の活動になりがちでした。今回は小樽や旭川等からも電話があり、全道的な広がりをどうして各地の自治体などに要望などを伝えていけばよいのか?今後の大きな課題となりそうです。
 また、情報が寄せられています。よい情報もあったのです。これらもお伝えしなければ、、、、。
その1 キロロのホテルは車椅子トイレがあり、利用しやすい。ただし
    絨毯の毛足が長く車椅子の走行が不便。
その2 札幌の地下鉄東豊線「環状東駅」エレベーター向かいのビル、
    「山本内科・眼科クリニック」(2F)スロープ、エレベーター,
    身障者用トイレ完備、待合室も広いスペースで使いよい。
その3 札幌市南区藤野(国道230号線)のカウボーイの中庭のトイレは
    車椅子で使えます。店が休みの日でも裏の駐車場から入れます。


 と言うことで、今回の報告を終わります。3回目を終えて、様々な感慨があります。どうしても札幌中心になりがちな活動(札幌が良くなればきっと他も良くなると信じて)。どうしたら全道,そして全国へこの活動を広げられるのか?。果たして、要望活動だけで良いのか?等々まだまだ、悩み,迷いつつ続けることになるのでしょうね。


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