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交通権を考える連絡協議会

会報第7号

(1994年9月30日発行)

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幅広い層からの要望や意見

第2回交通権110番を終えて
事務局次長 木下 祥子

幅が広がった要望と相談
 9月3日(土)、4日(日)の両日、昨年に続き「交通権110番」を開催しました。FAX兼用を含め電話を3回線設置し、午前9時から午後5時まで延べ20人のスタッフが電話を受付し、札幌圏や釧路、函館、岩見沢、苫小牧、砂川などから54件の相談が寄せられました。電話を寄せてくれた本人または家族のうち、肢体に障害をもつ人が半数以上を占め、他の障害をもつ人からは比較的少なく高齢者、現在療養中、病院の理学療法士、ボランティアをしている方などかなりの数にのぼり、層が広がったといえます。
 相談内容の内訳は道路14件、バス9件、地下鉄・タクシー各8件、トイレ6件、建物5件、他は3件でした。これは当日おおよその分類をしたもので、一人一人の方の相談が数項目にわたっており、整理すると要望、相談の項目数はかなり増加する見込みです。

目立った具体的な改善の声
 一番件数の多い道路については、視力障害の方、車いす便用の方等から都心部や文化的施設の周囲に多い景観を重視したタイル歩道は白杖が引っ掛かり危険、車いすでは振動が多く困る。また、歩道の傾斜、段差、小工事後の凸凹等の改善要望が車いす便用者等肢体不自由者だけでなく、健常者からも寄せられました。
 昨年に比べて目立つたのは、具体的に場所や建物、公共施設の名前をあげて改善の要望があったこと。また、トイレに関するものが6件あったことです。外出時のトイレは切実な問題だからでしよう。

 
「交通権110番」担当者で相談内容の整理を進めていますので、詳細は次号で報告します。また、整理が出来次第役員会で各関係機関への要望について検討していきます。

電話口で共感しあえる内容も
 移動・交通についての相談・要望とともに寄せられた感想・意見を若干紹介します。「昨日相談の電話をしたが、健常者に分かってもらえるのかとの気持ちがあった。テレビで相談に応じているのが障害者と知り、自分の思いが本当に埋解されていると思った」「行政に個人で要望しても実現することが難しいので、頑張って息の長い活動を続けてほしい」「病院でポスターを見て電話したが、ポスターが地味なので多色刷りの大判のにしては」等共感することが多くありました。反面「テレビのニュースで見たが、何でも要求するのはわがままだ。障害者はがまんすべきだ」との声も一件ありました。

みんなの願いの実現に向けて
 最後になりましたが、今回の「交通権110番」に後援を承諾してくれた札幌市と北海道、NTT北海道支社をはじめ協力してくれた方々、当日激励に来てくれた方、そして相談を寄せてくださった皆様に感謝いたします。今後とも『どんな人でも いつでも どこへでも 自由に出歩けるまち それがみんなの願い そんな願いの実現に向けて』ともに取り組んでくださるようお願いいたします。


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’94ひまわり号、小樽へ「普段着」の旅

ひまわり号を走らせる札幌実行委員会

実行委員長 後藤 昌男

 7月10日、「94ひまわり号」は小樽に向けて走った。走ったといっても、これまでの様に特別列車や貸し切りバスを仕立てての旅ではない。通常運行されている列車・バス・船を利用しての旅だ。「あたりまえ」に一歩近づく旅だ。
 私たちのひまわり号は、今年で10年になる。10周年の節目にふさわしい取り組みはなにか、これまでの実績を踏まえ参加者のふれ合いの輪をより広げ、より地域に根差した活動を。実行委員会は「普段着」の旅を企画した。障害者118名(うち車椅子使用者68名)、家族57名、ボランティア259名、事務局18名、計452名。二つのコースのうちいずれかを選択する。水族館コースー84名、散策コース(運河プラザ、ベネチァ美術館、北一ガラス、裕次郎記念館など)223名。普通列車の普通乗客と一緒にひまわり号になった。

旅を自分で作る
 朝、駅受付で障害をもつ人とボランティアがペアを組んだら順次ホームへ移動、切符も自分で買ってもらう。設定時間内6本の列車のうちいずれかで小樽へ向かう。
 一見、実行委員会の準備は大雑把でいいし楽な様にみえる。しかし集団移動よりはるかにこまやかな配慮が必要だった。要所々々の案内、仮設トイレの設置、移動困難筒所への行動ボランティア配置等々。旅する側にとっては不安ははるかに大きい。それだけに勇気と挑戦の意気込みが求められた。支え合う人の輪も二まわりも三まわりも大きくなる必要があった

現地のあたたかい歓迎に感激
 当初から山坂の多い小樽はむずかしい要素がたくさんある場所だということを、みんな知っていた。しかし有名観光地を訪れてみたいのは障害者だって同じだ。なおさらだ。実行委員会では現地下見を10回以上も行った。
 現地では「ひまわり号歓迎小樽市民の会」が結成された。そして小樽市内の参加者を募り安全確保要員としてのボランティアも組織された。150人もの人たちで受け入れ体制は整えられた。車椅子トイレ、食事処等マップに作り、そして当日駅ホームに歓迎の横断幕をかかげて下さったのだった。
 今この方々がこんどは小樽がらひまわり号を走らせようと頑張っているそうだ。

移動制約者に交通権を確かなものに
 小樽は石造りの古い街並みがいい。景観をいっそうひき立てているのが石塊ブロックの舖装である。「あれは車椅子の人にはたいへんでしょうね」お礼に訪れた私たちに市長さんがかたった。路面のガタガタは歩く人でも歩きずらい。へたをすれば車椅子のキャスターが壊れる。杖もひっかかる。歴史的街並みを大切にすることと、利便性安全性をどう両立させるか大きな課題と思えた。「いまだかつて車椅子で船に乗った人はいない。利用してもらってよかった」船会社の方がそう話されていたそうだ。裕次郎記念館でもたくさんの車椅子移動ははじめてで不安だったが、様子がつかめてよかったとのこと。私たちは、小樽駅でのお別れセレモニーでお世詰になった各関係団体に心からの感謝状をお渡しした。

あれこれの心配みんなでのり越えて
 台風が来るという予報だった。朝明け、西に黒い雲の流れが早い。降らなければいいがと祈る様な気持ちだった。誰かのてるてる坊主の願いかなってか、日中はパラッときてもすぐ上がった。たまっていた雨がどっとおちてきたのは帰りの列車の中だった。昨年の新十津川もぎりざりで台風をかわしたのだったが、今年もみごとな一日であった。くれなずむ札幌駅の帰路、ぬれた人も多がったことだろうが。私たちの乗降によっての列車の遅れは、ほんのわずか程度。「例年より、駅員の方も多く見られ、よく動いてくれてよかった」と反省会で実行委のメンバーが語った。「やればやれるもんだなあ」とも。
 そして、私たちは、10周年第二弾、大沼公園一泊の旅、スーパー北斗の旅を企画中。


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北海道への旅

高知県 田村 隆彦

 高知市身体障害者連合会の研修旅行ということで、初めて北海道の旅を計画しました。高知県に住んでいると、北梅道は憧れの地で一度は行ってみたいと思っています。
 今回の旅は札幌市内観光・福祉工場見学・小樽市内観光・美瑛町、富良野観光という3泊4日の行程でした。この旅は飛行機とバスを主に使っての旅行でしたが、飛行機を利用する上での規定に、車イスの方が乗れる人数は8名までで、必ず付添人を付けることが義務づけられていた。(これは座席数によりA320=166席=8名、B767=300=288席=8名、B747=569席=16名と違う)幸いにも今回の参加者は18名で車イスの方け8名以下でしたが、「団体旅行をする上でこの規定がネックになることがままあると思います。
 高知から千歳空港までは直行便はなく、行きは大阪・帰りは東京を経由。大阪空港はタラップを便っての乗降であり、利用者側も苦労していましたが、今回はアーム通路に着けでくれたので乗降をすることもなく良かったと思う。また1時間の乗り換え時間に、手荷物として預けてあった車イスを出してくれたので、トイレにも白由に行くことが出来た。
 北海道での4日間はリフト付の観光バスを借りることができ、大変たすかりました。ボランティアの参加が少なくバスの乗降だけで疲れる所でした。このバスは今年4月に買ったばかりだという事ですが、中央バスには2台あると聞きました。観光バスだけでなく路線バスにもリフト付きバスが大都市では走り始めていますが、参加者からも「こんなバスが高知にもほしい」との声がたくさん上がりました。4日間利用して思ったことですが、一つめは2台車イスを固定する場所がありますが、車イスを固定できでも人を固定できるベルトがない。二つめは座席に移る時、10㎝位の段差があろのはどうしてかな?三つめは通路を10㎝広く作っでいれば、好きな所へ座ることが出来たのに、これは構造上広くならないのかと疑間に思いました。
 全体的にはスム-ズに、楽しい旅行になった事を感謝てます。残念に思ったのは、前に車イス用トイレがあったホテルが、改装後そのトイレをなくてしまつたとの事で(今の時代仁考えられない)社協から急遽、簡易トイレを貸してもらいました。これも、ひまわり号の皆さんをはじめ社協の方の、お力添えのたまものと感謝いたしでおります。本当に有り難うございました。



『障害者の障害者による障害者のための』
スーパー北斗 点検旅行

昨年の[旭川点検旅行」に続き、今年も次の要領で行います。
◎目 的   道内を走るJR車輛の中で最も障害者に配慮しているとされる
       「スーパー北斗」を体験し、あわせて、函館市内を見学・点検
       することと、地元の福祉・身障団体関係者との交流を行います。
◎旅行目 10月9日(日)~10目(月・祭日)
◎行 先 函館市内
◎宿 泊 ホテル「ロイヤル柏木」
◎参加費 ひとり20,000円程度
◎規 模 15人


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△ご意見に答えて▽

過日の総会において、高森 衛さんより寄せられたご意見について「交通権学会」におうかがいしたところ、安部誠治事務局長様より回答をいただぎましたので、全文掲載をいたします。

 本会は、「交通権、交通問題の研究とその成果の普及およぴ会員の協力と懇親を目的」(本会会則第2条)として結成された学術団体(会員310人)で、その究極の目的は「わが国における交通権の定着・普及」にあります。運動団体ではないという点を除いて貴会とは目的等に大きな違いはないと考えます。貴会の活動は交通権の定着のために望ましいことで、歓迎します。お問い合わせの件ですが、本会は交通権」という題名の会誌(学術雑詰)、ならぴに「トランスポート21」という機関紙を定期発行しています。ISSN番号(0912-5744〉登録はしておりますが、特に商標登録等をしているわけではありませんので、交通権という名称を使われても当方でとやかく言うような筋合いのものでもありませんし、貴会報名は交通権を考える」となってもいますので、差し支えないと考えます。ただ、出来ましたら、将来、名称変更を考慮される場合が生じた際、「交通権」という名称への変更はおやめいただいて、会報名は現行の「交通権を考える」かまたは別の名称をお使いいただければ幸いです。これは全国の読者の混乱を避けたい、というただ一点からのお願いです。繰り返しになりますが、これはあくまでこちらのお願いで、判断は貴会がなさってください。
  なお、この機会に貴会名称に関してもお願いがあります。本会(交通権学会)は発足して10年になりますが、この会には「交通権を考える会」と称した前身があり、「考える会」名で会誌等も発行されています。そこで、貴会が将来、運勤の発展段階で名称変更を検討される場合、「交通権を考える会」ならぴに「交通権学会」という名称はどうぞ避けでいただくことをお願いします。団体の固有名詞の重複呼称をさけることは、歴央に対する責任という点からも必要なことと考えていますので。この点のお願いについては、是非聞き届けていただけると幸甚です。

 最後になりましたが、貴会と本会は同じような目的を持つた団体ですので、今後はこれを契機になんらかのおつきあいができると良いのですが。
 貴会のご発展をお祈りいたします。



◎事務局だより

7月 1日 110番部会会議 サンプラザ     18時30分
8月 6日 110番部会会議 ワークショップSP 18時30分
8月12日 役員会かでる27           18時30分
8月17日 110番部会会議 かでる2・7    18時30分
9月 3日 交通権110番  曽我会長宅      9時~17時
9月 4日 交通権110番  曽我会長宅      9時~17時



『編集後記』

会員のみなさんお元気でしたか?今年の夏は例年になく暑い夏と言うよりは、暑すぎる夏でしたね。
夏の短い北海道。今の季節が一番動きやすい障害者にとっては、楽しい夏を過ごせたのではないですか?と言う私も、レジャ-にスポ-ツにと楽しい夏でしたが、行く先々で、意外な場所に障害者が利用出来る施設があったり、ただ障害者マークが付いているだけの高速道路のパーキングなど、まだまだ不便な面もたくさんありました。会員の皆さんも、このような場面に出会ったりした事ありませんか?
そんな話し聞かせて下さい。
交通権では皆さんの情報待ってます。(Mi)

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