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第4章 応急対策終了後の対応(約1月以降)

 災害の規模にもよりますが、応急対策の終了後には、被災者の生活再建に向けた本格的な取組みが始まります。現行の制度においては、個人の生活再建に対する支援制度としては、災害援護資金の貸付けをはじめとする各種の制度資金の貸付けはありますが、個人補償の制度は存在せず、個人に対する給付としては、災害に際して寄せられる善意の義援金が活用されています。
 この義援金にしても当然に寄せられるものではないことから、被災者の生活再建にはさまざまな困難が予想されます。

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 1 応急対策終了後の生活支援対策
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@ 各種制度の活用促進

 生活支援については、直接個人の被害を補償する制度はない状況となっていますが、医療保険、年金、各種税制の中で保険料や税の減免などの救済制度があり、これらの制度の活用を図るため、関係機関による各種相談の実施など適切な対応に努める必要があります。

A罹災証明書の迅速な発行

 これらの制度適用に当たり、市町村は、必要となる罹災証明書を迅速に発行できる体制を整備する必要があります。

B 生活再建等資金の確保

 また、市町村は、災害弔慰金や災害障害見舞金の支給対象者を早期に把握するとともに、災害援護資金の貸付制度について被災者に周知し、当面必要な資金を被災者が迅速に確保できるよう、事務処理体制を早急に整備する必要があります。
 この際、被災市町村だけでの対応が困難な場合、道や周辺市町村などの支援を要請するとともに、要請を受けた市町村などにおいては、積極的に協力していく必要があります。

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 2 救援物資、義援金の配分
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@ 救援物資の受入れと配分

 災害発生直後から、全国の人たちから善意の救援物資が被災地に送られてくることが予想されます。北海道南西沖地震や阪神・淡路大震災の際にも、多くの救援物資が全国から送られ、被災者を励まし助けることとなりました。しかしながら、生ものが混在していたため中の衣服が汚れていたり、古着などの被災者に配分することが難しいものが救援物資として送られるなど、せっかくの善意が無駄になってしまう事態も生じました。
 市町村は、被災直後においては、備蓄してある物資や災害時の応援協定に基づき配分される物資などの配分によってもなお不足する場合に、必要な物資の種類や量を早急に把握し、報道機関などの協力を得て支援要請することが大切です。
 また、多くの救援物資を仕分けし配分する時間と労力は、被災地にとって大きな負担となることから、救援物資の受入れに際しては、品目別の発送や、内容がわかるような表示などの工夫をしてもらうようにすることが重要です。なお、このことは、他の都府県・市町村に対し救援物資を送る場合にも当てはまることですので、日頃から住民に対し周知を図ることも大切です。

A 義援金の受入れと配分

 被災直後から救援物資と多くの義援金が全国から寄せられます。善意の義援金は、公平かつ迅速に被災者に配分することが大切です。このため、義援金の募集・配分委員会を組織し、配分基準を策定しこれを公にした上で、迅速に配分することが必要です。
 このように、救援物資や義援金の配分は、被災者の生活支援に役立つよう、できる限り迅速に行う必要がありますが、その配分に当たっては公平性が確保されるようにし、被災者の理解が得られるように努める必要があります。

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 3 災害弱者への対応
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 高齢者や障害者などの災害弱者は、一般の被災住民以上にその生活再建において困難が予想されます。これまで述べてきたように、被災後のさまざまな場面で、災害弱者に対する配慮が必要ですが、一定程度の落ち着きを取り戻し、生活を再建していこうとする場面においては、平常時以上の支援が必要となります。このため、災害弱者のニーズの把握をきめ細かに行い、各種福祉制度の活用を図るなど、支援の充実に努める必要があります。


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