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交通権を考える連絡協議会

会報第19号

(1997年12月15日発行)


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スーパーおおぞらでの
帯広点検旅行報告
木下 祥子

○実施日
 1997年10月3〜4日

○参加者
 12名(内訳 手動車いす2人、電動車いす2人、視覚障害〜盲導犬同伴1人、その他6人)

 今年3月札幌〜釧路を3時間42分で結ぶ新型列車スーパーおおぞらが運行された。障害者団体等の要望を採り入れた車輌とのことで、4月19日札幌〜帯広間を乗車点検しました。
 その結果を要望書にまとめJR北海道に提出し、回答を得ました――この報告については会報第18号に掲載――。回答の結果の確認を含めて、再度札幌〜帯広JRの旅を実施しましたので、概要を報告します。

帯広駅前で記念撮影

日程
10月3日(土)
 12時40分 札幌駅集合
 12時50分 ホームへの移動開始
 13時29分 スーパーおおぞら5号発車
 15時53分 帯広駅到着(4日の集合場所の確認、駅員と乗車時について
              打ち合わせ)
  ホテルチェックイン(十勝ガーデンスホテル、帯広ワシントンホテル)
 18時〜20時 食事と交流会(十勝プラザ一階レストラン「パタータ」)
 20時以降 カラオケ(有志8人参加)
10月4日(日)
  ホテルチェックアウト後 1日時まで自由行動(緑ケ丘公園、買い物等4
             グループ)
 13時〜14時 帯広駅周辺点検(2グループ)
 14時20分 ホームへの移動開始
 14時41分 スーバーおおぞら8号発車
 16時57分 札幌駅到着(解散)

点検結果
1.JR関係(車両・駅舎構造、サービス)
 ・車内搭載の車いすは座席の間の通路を通れる幅のものに取り替えてあった。自力で動かされない形式なので介助が必要。利用する場合は乗務員に連絡し、出してもらいます(乗務員に連絡するための、呼び出しボタン等は設置されていない)
・帯広駅のスーパーおおぞらの4号車(障害者対応の車両)の停車位置がホームの狭い所のため携帯用スロープを直角に設置できずに介助者が降車させる場合でも、介助者が柱などに接触する危険が大きい。
・ホームと列車の隙間幅については、参加した視覚障害の方が盲導犬を伴い、また介助者が指示してくれたため危険を感じなかった。(介助者にけ隙間そして段差が大きすぎて危険に感じましたが…)
・折畳みのできない電動車いすは、1台は多目的室に入れ、1台は隣の車輌に置いた。電動車いすでは通路の構造から隣の車輌に移動することが難しい。電動車いすを隣の車輌に置かなければならない人は同行の介助者又は駅員が背負うか抱いて乗降した。
・座席番号の点字表示についてほ、中途障害者の場合は点字を読めるとはかぎらないので、算用数字を凹凸又は凸で表示することを考えてはどうか。


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駅での乗車風景

・札幌駅、帯広駅ともに事前に連絡してあるので対応した駅員数は充分であつた。
・車いす5台(手動3台、電動2台)であり札幌駅でも事前に電動車いすのサイズを調べるなどの努力はしていたが、実際の場ではかなり手間取った。途中駅である帯広では、降車時・乗車時ともに停車時間(2分)より2〜3分多く要した。

2.帯広駅周辺
・駅前広場は工事中(表側)
・帯広駅裏側は、近年整備された地城であるが、横断歩道から歩道への傾斜はきつい。点宇ブロックは歩道のタイル(コンクリート平板、インターロッキングの類)と同色である。
・駅(裏側)に一番近い信号は普通の信号で、駅から2つ目がメロディ信号であるが、その音量は大きく1番目の信号まで聞こえてくるのは混乱を生じる恐れがある。
・公共の建物である十勝プラザの内外には点字ブロックが設置されているが、盲導鈴が設置されていない。

その他
・十勝ガーデンスホテルは盲導犬を受け入れてくれたが帯広ワシントンホテルはその逆のため分散宿泊にした。交通機関とともに、宿泊施設も障害を持つ人に利用しやすいものであることが重要。
・電動車いす2人、手動車いす3人視力障害(盲導犬同伴)1人の参加で、点検旅行の趣旨に適つた構成であつた。




帯広点検旅行の感想


盲導犬と一緒に

Sさん(視覚障害)盲導犬
 スーパーおおぞらに乗って帯広にやって来ました。私は肢体障害者と共に旅行したのは初めてで、いろいろ参考になりました。
 私たちの仲間も、このように肢体障害者と接することによって新しい分野が広がると思います。仲間会を率いる身としては本当にみんなと知りあってそれぞれの悩みやそれぞれの体験等を話できたことが良かつたと思います。



T(男)さん(事務局ボランテイア)
 私は交通権の事務局員として点検旅行にはこれで4度目の参加となります。視覚障害者の方とは初めての経験で、ずいぶんと戸惑いも多かったのですが、盲導犬の有用性というものを目の当たりにてきて大変良かったたと思います。でもただ盲導犬をつれて歩いたとしても初めての街はやはり一人または盲導犬と共にだけでは歩けないということも新しい経験でした。


Iさん(ボランティア)
 盲人の方との旅行は初めてだったのですがジェイ(盲導犬)がとっても躾もよく盲導犬に育ってたことがとても感心しました。
 そして一般の方でもまだ盲導犬をあまり見たことがない方が沢山いらっしやるようで物めずらしく眺めて行くのが印象的でした。私も初めての体験でしたけれどこれからも盲導犬がますよす増えてみんなが興味深く見るようにならない社会になっていったらいいなと思います。車椅子の方ほこの頃街にも沢山出ていらつしやる方も多いようで、あまり興味深くみることもなくなって来たようで、そうなるといいなと思います。


T(女)さん(ボランテイア)
 カラオケに行った時の店長さんがとても親切でイスをずらしてくれたりしました。皆様そうでした。それから道端で会った茶髪のヤンキーなお兄さんたちも親切に道を教えてくれて、気を付けて帰るんだよ、という言葉もあって、とても親切な人たちに会いました。
 道路は美観はあるものの車椅子に乗っている人にとっては乗り心地の悪いあまり整備されていない道路でした。ホテルの人も親切でいろんなことを教えてくれて気配りが行きとどいていたよこうに思います。JRの職員の方も沢山出てくれて、かなり交通権というものを意識していたのだと思いますが、でも良 かつたのではないでしょうか


Kさん(電動車椅子)
 電動車椅子を使っての初めての旅行でした。一人で動けるのでとても楽でした。
 札幌駅で車両に乗り込む時先に電動車椅子が乗り込んでしまい通路をふさいで後から乗った視覚障害のSさんや車椅子の方が降り直さなはればならないなど混乱した場面もありました。車椅子の者が多数乗るときは順次座席に着いて車椅子を座席の間に収納するなど少し時間がかかるため事前に乗る順番など考えておく必要性を感じました。
 帯広駅のホームでの障害者対応の車両の停止位置を広い場所で停止できるように改善して欲しいと思いました。
 春の点検のとき車両の座席の間を備えてある車椅子は通るこどができなかったのですが今回は通ることができる車椅子に変わっていました。
 ホテルは障害者に配慮きれた設備になっているのに盲導犬に対しての理解がなく、表向きだけの配慮で本当の意味でほまだまだ障害者の理解がされていないことを強く感じ、今回、視覚障害者で盲導犬と共にSさんが参加してくれたことで新しい問題を示してくれたと思いよす。
 今回は事務局の者ばかりではなく会員の方で視覚障害者の方や言語障害をともなった車椅子の方、短距離なら杖で歩ける片麻痺の方など参加してくださり良かったと思います。


Aさん(ボランティア)
 前回春のときも点検に参加させていただいたんですけど今回は視覚障害者の方も一緒でした。信号機が音が出なかったりホテルの入り口で音が出ないところがあったり、視覚障害者の方から見るとまだまだ改善してほしいところがあるようでした。


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Mさん(ボランティア)
 Tさんを担当しました。大変でした。なにが大変かというとT君が寝ないのが一番大変でした。T君とずーっといれたんで短い時間だったけど辻君のことが少しわかったのが良かった。


Tさん(電動車椅子)
 いろいろな体験ができて良かったです。点検では知らなかつたことを学ベてよかったです。また参加したいです。


Mさん(車椅子)
 今回の旅行では初めて会った人達と仲良くなれて良かった。帯広の街で気がついたことは舖装道路がガタガタして歩きづらかった。もっと簡単な舗装にしてほしいと思いました。


Oさん(ボランティア)
 今回点検旅行ということではじめは何をするのだろうと少し不安だったのと、Kさん付きのボランティアということで退院後まもなくて身体機能的なものがどの程度対応できるかなと心配だったのですが、先生もいがいと頑張ってくれたので、自分も楽しませていただきました。
 点検旅行の中で気になったのはスーパーおおぞらの障害者対応の車両なのに着いた駅でのホームが柱のそばに着いたとか、人が乗り降りする場所に車両が止まったりしてなかなか障害者の人がゆっくり乗り降りするところではなかったです。
 ホテルではドアの向きとか電気の付ける位置、手を洗う場所、タオル置き場など障害者が使いづらいところが多々あったように思います。





つどーむ点検!

 札幌市スポーツ交流施設コミュニティドーム(愛称つど−む)が6月15日から開設し、一般開放も行われています。  所在地は、東区栄町855番地1。地下鉄栄町駅2番出口がら徒歩8分、総工費56億円を投じた、屋内グラウンド11,484u天井高39.5mの全天侯型施設です。屋外にも多目的広場や球技場、テニスコートなどがありまず。
 11月22日、ここを連絡協議会として車椅子での点検活動を行つたので報告しまず。

駐車場
@障害者用は9ヶ所設けられているのはよい。しかし、特に連絡せずに出向いたその日は、1ヶ所が空いていただけで、他は一般外来者の車が駐車していました。「障害者はめったに来ないから、空かしておくことはない」と考えると、せっかくの配慮が本番で役立たなくなります。
A正面入口に向かつて出入り口に近い右側のスペースに障害者専用レーンを設け、屋根かひさし付きの駐車場が設けられないものか。
B冬の消融雪装置については、冬季点検が必要。
C障害者用駐車場の案内標示が目につきづらかった。

出入口
@幅は広くてよい。ただ入口の誘導ブロツクの上に、「どろふきマット」が敷いてあるのは困る。誘導が途切れないような工夫が必要でないか。
A冬は滑らない材質かどうか、また音声誘導はどうなっていろかなど、視聴覚
 に障害をもつ人たちの直接点検が必要。

トイレ
@自他共に認める障害者用トイレの研究家石川祐治氏が「これは良くできている」と褒めた。障害者用トイレは、男女それぞれ4ヶ所、シャワールームが 付設してあるトイレもある。
Aトイレ中央部が広いし、鏡もよい(欲を言うと、もう少し下がればもっとよい)。
B手荷物置き棚、コート掛けの位置が高い(介助者のためならいいが車椅子当人はとどかない。
Cカテーテル洗浄のため水量調節ができる蛇口があればいい。
D手洗い場の手すりは片側を長くして、寄り掛かれる様にしてはどうか。片手を離して立つのが困難な人のために。
E手洗台の下の空間が斜めになつていたが、車椅子が入り込めるように空けた方がよい。

公衆電話
@高さはよい。一基以上設置、聴覚障害者のためのファックス設置がのぞまれる。

観客席
@2階観客席に、車椅子専用席が5席×2ヶ所設置されているのはよい。それぞれの席に、コンセントが付いていたので職員の方に伺ったら、室内全体に温風が流れる様になつているが、障害者の方が特に暖房を必要とする場合の電気器具の持ち込みに対応すろとか、時には充電など、そのために設置したとのことでした。

エレベーター
@2階観客席に行くため一基設置されている。1ヶ所だけでは、ちょっと淋しいが。

その他伺ったこと
@工事中の屋外多目的広場にも障害者用トイレが設置される。
A障害者の利用状況を伺ったら、延べ人員で、7月15名、8月10名、9月26名、10月28名とのことでした。
B障害者の利用割引きは、手帳を待った本人と介護者の免除制度や、障害者団体割引き制度もあるとのこと。
Cトレーニングルームやランニングコース、会議室などは、点検しなかったが、スポーツ活動をしている方々の積極的な利用を通して、さらに多角的多面的な点検が行われることを切望します。
D素晴らしい施設であるだけに、そこまで行くための交通事情も点検してみる必要があると思いました。

(後藤・石川記)



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「ひまわり号・全道交流会」開催される

 10月25〜26日、札幌身体障害者福祉センター(1日目)北海道難病センター(2日目)を会場に、全道各地及び札幌から総員約50名が集まり「Friendship-Train'97ひまわり号全道交流会」が開催された。北海道では第3回になる。札幌実行委員会がお膳立てに当たった。
 現在道内には6実行委員会がある。札幌・函館・旭川・小樽・ふるさと銀河線・千歳の各実行委員会。多くの仲間が汗して走らせてきたその歴史と知恵と努力と感動を、報告しあい議論を重ね、さらにすばらしい運動に発展させようというのがねらい。
 内容は、講演会(道ブロヅク長三島春光氏)・各地域実行委員会実践報告・懇親会・分科会・全体会議。

 分科会は、
○実委員会の運営について、
○ボランティアの組織について、
○ひまわり号の夢・思いについて語る。
 以上の三分科会。

 実践報告は多岐にわたったが、特に今年度の取り組みについては、

●函館−−今年は8回目、砂原町「ぐるっと一周駒ヶ岳」で230名。特に視覚障害をもつ人15名、内部障害をもつ人10名の参加が特徴的。視力障害者介助講習会も開いた。
●旭川−−今年は12回目。増毛町リバーサイドパークに310名。現地漁協の協力を得てチャンチャン焼きや浜鍋が好評。プリクラで楽しんだり、暑寒大鼓も。
●ふるさと銀河線−−今年は6回目。豊頃町長節潮へ186名。陸別、足寄、本別、池田の4町有志によって原則的には銀河線を使った旅を企画している。防波堤までコンパネを敷いて海へ、盆踊りのレクや個人募金者全員の名前を載せたすばらしい記念詰の発行も。
●千歳−−初めての取り組みで、登別マリンパークニクスへ122名。現地でスタンプラリーやセレモニーを。参加者交流会も予定している。
●小樽−−余市の斉藤農園でぶどうがり56名。
●札幌−−13年目18本目。上富良野フラワーランド、日の出公園へ310名。遊覧ヘリコプターで上空のステキな花畑を一周したり、トラクターバスで花畑を一周したり。その他参加者交流会や雪祭り交流会のとりくみなどの報告があった。さらに今年の歌「ラベンダー友情列車」(相内歳寛作曲)も披露された。
 なお、来年は函館で全国交流集会が開かれることがきまっているので、北海道の実行委員会あげて成功させることを約束した。
 そしてひまわり号の運動を通し、移動弱者に対する交通権の確立にむけてさらに頑張ってゆくことを確認しあって散会した。

(後藤記)




'97私たちもバスに乗せてくれ
運動の成果、市交通局より回答が!!

「回答」

札自業第622号
平成9年12月2日

“私たちもバスに乗せてくれ”運動の会様

札幌市交通局
自動車部長 榊原 敏彦

 初冬の候、貴会におきましては益々ご活躍のこととお慶び申し上げます。
 さて、平成9年7月23日付要望の「人に優しいバスの導入」につきましては、平成10年度にノンステップバス1台を試験的に導入し、冬道での走行試験や、将来にむけての様々な課題の検討を行うなど、利用者の方々に親しまれるバスの導入に向けて今後とも努力してまいりたいと考えております。


1.導入概要
 (1)運行予定路線 真駒内線(真駒内駅〜市立病院間10.4q)を予定
 (2)路線選定理由 公共施設、病院が多く市電、地下鉄に乗継ぎが可能な為
 (3)導入台数   1台
 (4)導入予定時期 10年秋頃

連絡先 札幌市交通局自動車部業務課
鈴木
TEL 896一2733



事務局だより

 9月 5日 かでる2・7 午後6時30分
       交通権会議
       点検ツアーの集約・当日の担当、団体会員意見交換・交流会の
       準備など
10月4・5日 JRスーパーおおぞらで行く帯広点検
10月14日 かでる2・7 午後6時30分
       交通権会議
       帯広点検ツアーの報告、これからの活動など
10月28日 かでる2・7 午後6時30分
       交通権会議
       団体会員意見交換・交流会の準備、身近なところの点検(候
       補=つどーむ、コンサートホール、中島公園)
11月18日 かでる2・7 午後6時30分
       交通権会議
       団体会員意見交換・交流会の参加団体の最終確認・当日の分担
11月22日 身近なところの点検
       11時30分 つどーむ
11月29日 団体会員意見交換・交流会
       午後1時 身障センター
11月29日 身障センター 午後3時30分
       交通権会議
       団体会員意見交換・交流会での話し合いを活動に具体的に反映
       させるには
       つどーむ点検報告、これからの活動など




『編集後記』

 はや年末。この会報が出るころには今年の障害者の日も終わっているころですね。
 個人的な事ですが今年は忘年会に3回参加する予定です。その内2回は車椅子や杖をついたりして参加する人たちと一緒です。今年は雪が遅く、車椅子で外出するにも楽な年の瀬ですが、同じ仲間で、新年会をすることも決まっています。果たしてその時はどうなるでしょう。雪や雨など気にせずに外出できるようになればもっと多くの仲間と楽しい集まりが出来るのに。と、いつも話し合っているのです。
 そんな仲間達の眩きを集め、大きな声にしていくのが、私たち「交通権を考える連絡協議会」の役割ですし、この会報がそのネットワークを作るための道具に成れれば望外の幸せです。

(T)



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