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『市電フォーラム』

 さて、先月の29日に中央図書館で開催された札幌市電についてのフォーラムですが、主催者は札幌市ですが、フォーラムの進行は、市民政策シンクタンクである「LRT札幌」が務めました。フォーラムの内容は以下のとおりです(若干不正確かもしれませんが私の記憶から思い出して書いていますので、その点はご了承ください)。

札幌大学 伊藤 尚博

◎札幌市電についての歴史と現状について

 ・札幌市電は、連接車。路面ディーゼル動車の導入や、パッセンジャーフロー方式の導入などで、最先端を行っていた。
 ・最盛期には総路線距離が25kmも会って、ほぼ市内全域をカバーしていたが、後   の路線縮小によって8.5km弱にまで減少し、現在では西線や山鼻地域などの一部の住宅街のみを走っているだけなので、市電を利用する客は限られている。
 ・市電の所要時間のうち、運賃収受と信号待ちがそれぞれ20%台と多くの時間を取られている。
 ・市電の乗客は減少傾向が続き、このままでは平成20年あたりに一日の平均利用客数は2万人を切り、市電運行が困難になってくる。
 ・市電の存続問題は、交通問題だけではなく、街づくりや環境問題の観点など、多面的に考えていく必要があって、市電のこれからのあるべき姿というものを市民に提示していくべきである。


 次に『路面電車が街を作る 21世紀フランスの都市づくり』(鹿島出版会)の著者で、アトリエUDI都市設計研究所の所長をしている望月真一氏より、「〜車優先社会の修正と街の活性化・人の交通権〜」という命題でフランスにおけるLRTの整備と街づくりについてのプレゼンがありました。

〜車優先社会の修正と街の活性化・人の交通権〜

 ・フランスも日本と同じ自動車社会であって、トラムが相次いで廃止され、中心市街地の空洞が進んだ。
 ・第1次オイルショック以降、自動社会に対する反省から公共交通整備に力を入れるようになった。
 ・中心市街地の活性化は、都心居住環境の整備と公共交通の整備にある。
 ・健常者だけでなく、障害者や高齢者、子供などすべての人に移動の権利を保障する「交通権」を保証するために、82年に「新交通基本法」が制定され、、法律の中に「交通権」が明記された。
 ・現在、フランスには、ナント、グルノーブル、ストラスブール、ルーアン、パリ、モンペリエ、リヨン、オルレアンなど11都市にトラムが存在し、そのうち8都市は1984年以降に整備された。
 ・トラムのある都市は「暮らしやすくいい街」ということで評判がいい。
 ・トラムの整備にあたっては、住民への積極的な情報公開と宣伝活動が行われた。
 ・バス&ライドやパーク&ライドの整備も重要
 ・トラムなどの軌道系公共交通は都市の装置であって社会資本であるから整備等に公費の投入は積極的に行われた。


 望月氏のプレゼンの後、10分間の休憩を挟み、市電の沿線にある札幌市立幌南小学校4年生による学習発表が行われ、市電の活性化についてのさまざまなアイデアの発表が行われ、中には「なるほど」と考えさせられるような発表もありました。
 市電フォーラムの内容は、こんなところでした。もう少し詳しい話については後日させていただきたいと思います。今回はこれで失礼します。

LRTさっぽろのホームページのアドレスです。
 
http://www.lrt-sapporo.gr.jp/

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