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96交通権レポート第2回

『災害に負けないともに生きる街を』

前回の続き、『交通権を考える連絡協議会』主催の秋の講演会『災害に負けないともに生きる街を』から、お二人の講師の用意されたレジュメをお届けします。
※なお、講師のプロフィールは前回お知らせしましたので省略します。

テーマ:「阪神・淡路大震災とまちづくり」

講 師:横須賀俊司さん(聖和大学非常勤講師)

はじめに
災害規模の想定
地震による災害特性
  @同一地域での発生の低頻度性
  A地震現象の短時間性と災害波及の長時間性
  B地震現象の予知予測の困難性
  C災害様相の複合性
  D被害の階層性
  E災害意識における非日常性
  F被害拡大の人為性と災害責任における天災性

震災による被害の状況
(1)一般的な被害状況
 表参照(省略)
(2)高齢者、障害者の被害状況
 被災者数
  身体障害者が1万4042人、知的障害者が1万1115人,65歳以上の高齢者は43万1607人(澤村1頁)
 障害者手帳所有者(身体、知的)の死亡者数 120名
  神戸市58名、芦屋市38名、西宮市14名、宝塚市5名、北淡町3名、津名町1名、尼崎市1名、(95年3月16日付朝日新聞)
 身障者手帳保有者10万4042人、療育手帳保有者1万1715人
(94年3月末現在)
 (3)共同作業所の被災状況
 共同作業所全国連絡会が133カ所を対象に調査(95年2月9日付読売新聞)49カ所(40カ所が法定外施設)が被災し、作業困難化(全壊・全焼
13カ所、半壊11カ所)
 障害者、家族、職員の32名が死亡し、失職者約700名
 障害者の被災体験
 (1)肢体不自由者
 避難所には段差があったり車椅子トイレが設置されていなかった。その結果倒壊寸前の住居に帰った。
 所得保障等の不備のため古い文化住宅を借りざるを得ない実情があるが地震により倒壊したものの多くは古い文化住宅であった。
 行動がとりにくいので地震後しばらく閉じ込められたり、生き埋めになったままであった。
 集団生活ではカテーテルを使ったり、衛生処理をしにくい
 (2)視覚障害者
 情報が入手しにくく、何が起こったかを把握できにくかった。
 知らない所の単独移動は困難なので、避難所では行動を制限してしまった。
 地形が変わってしまい出歩けない
 状況判断ができない
 仮設で勝手にガスの元栓を止められた
 苦情のため仮設の入り口に音声誘導装置をつけられなかった
 (3)聴覚・言語障害者
 学校放送により食事の配給等が行われたために情報が保障されない
 テレビで避難情報、生活情報が流されていたが手話、字幕放送がなされなかった
 公衆ファックスが送信専用しか設置されなかったために情報のやり取りが困難であった
 生き埋めの時に声が出せない
 (4)知的障害者
 行き場がなくなってしまいパニックを起こしたりする
 無認可作業所に対する援助をしない
 (5)精神障害者・内部障害者
 医薬品の入手が困難になり自己コントロールができなくなった

 障害者の取り組みと行政の対応の違い
 (1)障害者の取り組み
   @障害者総合情報ネットワーク(姫路)
  情報のキーステーションとなる
   A兵庫県南部地震障害者救援本部(大阪)
  ボランティア派遣
  救援物資の取り次ぎ
  避難所の運営
  自分たちで集めた義援金を障害者団体に給付
   B阪神大震災被災障害者支援実行委員会(東京)
  カンパ活動
  介助者の確保
  避難先の募集
  厚生省への要望
   C被災地障害者センター(神戸)
  さまざまな情報の集約点となり、ファクス情報の発信地となる
  公園を借りて、障害者も住みよい仮設住宅を自前で建設
   D個人の活動
  炊き出しなど住民を支援する側に
 (2)行政の対応
  安否確認せず
  仮設住宅入居辞退の強制
  仮設住宅が使えない→神戸市は4月末までに約千戸の仮設住宅を建設
  したが、644戸の入居が決定したに過ぎない
  ある障害者の事例 ー障害者の入浴をめぐってー

大規模災害に備えた施策
 (1)災害予防施策
  コミュニティーの再生、強化
  避難所のバリアフリー化
 (2)災害緊急施策(生命・安全)
  安否確認と人命救助
  必要で正確な情報の提供→不安の解消
 (3)災害応急施策(健康・非常時の生活)
  ライフラインの確保→医療が必要な者にとっては医療が、介護が必要な者にとっては介護がライフラインといえる
  仮設住宅
  社会福祉施設の開放
 (4)災害復旧施策(日常生活)
  中・長期的住宅建設
  公共交通機関の復旧
  バリアフリー建築物の建設

障害者運動における当面の課題
 (1)当事者組織の強化・拡大
  コミュニティづくりの基盤
 (2)当事者参加による計画策定
  形式的参加ではなく実質的参加
  点から線、線から面へ
 (3)福祉のまちづくり条例の対象範囲
  公的施設の対象化

<資料>
(表2ー3)市町村別死者、行方不明者、負傷者(消防庁調べ、平成7年5月8日現在)
 省略

(表2ー4)死亡者の死因について(警察庁調べ)
 省略

(表2ー5)性別・年齢別死亡者数(警察庁調べ、)
 省略


以上です。次回はお二人目の講師中内さんのレジュメをお届けします。


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