'96交通権レポート第5回
前回のレポートでお知らせした「阪神大震災講演会」の結果を踏まえて、少しでもこの教訓を生かすべく、札幌市との懇談会が持たれました。2時間という短い時間で必ずしも十分な内容ではなかったようですが、とにかくこのような懇談会が開かれたという事実をまず評価したいと思います。『交通権を考える連絡協議会』が生まれて5年。少しずつ認識されてきたのでしょう。
今回は、事務局長の報告をそのままお届けいたします。ではどうぞ。
『阪神大震災の教訓を』
街づくりで札幌市と懇談
事務局長 宮 下 高
阪神・淡路大震災が起きて一年が過ぎましたが、皆さんの脳裏にまだあの自然の猛威、恐ろしさが残っているのではないでしょうか。しかし、これもあと何年かすると私たちの記憶から徐々に薄れ忘れ去られて行き、忘れられた頃に災害が起きるという繰り返しになるのではと言う心配もあります。
昨年11月に阪神・淡路大震災の教訓を学び、特に障害者の地震対策の参考にと実際に被災した障害者の横須賀氏と、救援活動に当たったボランティアの中内氏を招いての講演会を開きました。講演会で出された貴重な教訓を大都市札幌に生かすべきだとの声から4月24日に札幌市と懇談会を開催し、札幌市は建設局、建築局、消防局、民生局それぞれから係長クラス8名、交通権からは後藤会長代行をはじめ8名が参加しました。
懇談会はまず交通権から震災時の障害者対策を項目的に問題提起し、それを受けて札幌市は地域防災計画緊急対策95の内容を各セクションから説明し、それに対してこちら側が質問をすると言う内容で進められました。
防災と言う大きなテーマなので2時間と言う限られた時間内では十分な話し合いが出来なかったように思います。特に障害者サイドの問題よりも札幌市の緊急対策の中身の説明に終始し、交通権の問題提起に対する質問があまりなかったようです。
なかでも大震災後につくられた地震対策部会は商工会議所、町内会、ボランティア団体などで構成されており、障害者の代表は入っておりません。そのせいか緊急対策の災害弱者対策も十分と言えるものではありません。
ただ、札幌市も一回の懇談会で済む問題でないので何回かの懇談会が必要と言っておりますし、また、事前に講演会で出された資料を札幌市に送っており、これらを参考にして中身の充実を計るよう働きかけて行くと同時に障害者に住みよい町は災害に負けない町にもつながるのだと言う考えから日常的な活動にも力を注ぐことが必要だと思います。
以上です。次回は新年度を迎えて6月2日(日)に開催される予定の総会のレポートをお届けいたします。
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