大規模災塞における応急救助の指針
(平成9年6月 厚生省)
はじめに
第1 応急敷助の実施体制の整備 ・・・・・・・・・・・・・・31
1 人的体制の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2 応援体制の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
3 被害情報の収集・連絡体制の整備 ・・・・・・・・・・・33
4 災害救助基金の活用による備蓄 ・・・・・・・・・・・・34
5 実施機関との連携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
第2 応急救助の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
1 避難所の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
2 応急仮設住宅の供与 ・・・・・・・・・・・・・・・・・38
3 食料・飲料水の供給 ・・・・・・・・・・・・・・・・・41
4 生活必需品の提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
5 医療 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
6 埋葬 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
7 遺体の処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
第3 応急救助に当たり特別な配慮を要する者への支援 ・・・・45
1 要員の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
2 安否確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
3 避難所における支援対策 ・・・・・・・・・・・・・・・45
4 福祉仮設住宅の設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・47
5 その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
第4 情報提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
1 多様な情報提供手段の活用・・・・・・・・・・・・・・・47
2 障害者や外国人への情報提供 ・・・・・・・・・・・・・47
3 被災者の必要性に即した情報提供・・・・・・・・・・・・47
第5 ボランティア活動との連携 ・・・・・・・・・・・・・・48
1 ボランティア活動の受け入れ・連携 ・・・・・・・・・・48
2 連絡・調整機能の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・48
3 活動基盤の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
4 連携体制づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
第6 救援物資・義捐金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
1 救援物資の受け入れ・配分 ・・・・・・・・・・・・・・49
2 救援物資の送り方の周知 ・・・・・・・・・・・・・・・49
3 義援金の受け入れ・配分 ・・・・・・・・・・・・・・・49
第7 住民に対する啓発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
おわりに ・・・・・・・・・・・・・・
平成7年1月の阪神・淡路大震災は、災害救助法に基づく応急救助のあり方について数多くの教訓を残した。本指針はこの教訓を踏まえ、大規模災害における応急救助を迅速かつ的確に実施する上で必要な事項をとりまとめたものである。
今後、各都道府県におかれては、本指針に基づき、地域の実情に即した実施体制を整備するとともに、災害が発生した場合には迅速かつ的確な救助の実施に努められたい。
なお、本指針は、主として大規模な地震災害を念頭にとりまとめたものであるが、災害の規模や態様は千差万別であることから、災害発生時には、本指針に基づきつつも、臨機応変な対応が必要であることを念のため申し添える。
第1 応急救助の実施体制の整備
1 人的体制の整備
(l)要員の確保
ア 災害が発生し、又は発生するおそれのある場合には、職員が決め
られた場所に自発的に参集する体制を整備しておくこと。
イ 平常時から、災害時を想定した職員の参集訓練を実施しておくこ
と。
ウ 職員は、交通機関の混乱や途絶の可能性があることを想定し、自
転車や徒歩を含む参集場所への複数の交通手段を確保しておくこと。
エ 交通機関の混乱や途絶、また、職員自身の被災などによる救助要
員の不足が想定されるため、緊急時における当面の間の、他部局や
地方機関の職員による応援等の補完体制を整備しておくこと。
(2)資質の向上
迅速かつ的確な救助を実施することができるよう、救助担当職員に
対し、救助に係る実践的な研修を行っておくこと。
2 応援体制の整備
(1)災害援助協定の締結
ア あらかじめ他の都道府県と救助の応援に関する協定を締結してお
くこと。
イ 食料、生活必需品の調達、応急仮設住宅の建設等、事業者の協力
を得ることが必要な救助については、あらかじめ事業者団体等と物
資供給等に関して協定を締結しておくこと。
ウ ア及びイに定める協定では、応援要請又は協力の手続き、応援又
は協力を受けるべき救助の内容・方法、費用負担のあり方等につい
て明確にしておくこと。
エ 被災都道府県自身の被災により、被災都道府県から応援要請が行
われないことも想定されるため、このような場合における応援派遣
に関する手続きについても明確にしておくこと。
(2)応援要請
ア 被災都道府県の職員のみでは救助要員が不足する場合に、速やか
に他の都道府県に対し、災害援助協定に基づいて職員の応援派遣を
要請すること。
イ 近隣の都道府県からの応援のみでは的確な救助が実施できないと
判断した場合は、災害救助法(以下、「法」という。)第31条に
よる厚生大臣の応援命令を求めること。
(3)応援派遣
ア 応援を行おうとする都道府県(以下、「応援都道府県」という。)
は、救助の種類、場所、期間等の救助内容について事前に被災都道
府県と調整を図るとともに、厚生省に連絡して実施すること。
イ 被災都道府県と連絡が取れないなどの理由により調整が図れない
場合は、厚生省と調整を図って実施すること。
ウ 応援都道府県は、被災都道府県の被災状況によっては現地におい
て衣食住に関する支援が受けられないことも想走し、これらに係る
最低限の装備については自ら携行すること。
エ 応援都道府県は、派遣職員の中からあらかじめ責任者(長)を定
めること。応援職員に対する指揮は、原則としてその責任者(長)
が行うこと。
オ 現地では情報の混乱等が生じていることも想定されるので、責任
者(長)には、様々な状況下においても的確な判断を下し、責任を
持って対応できる者を選定すること。
カ 大規模災害を経験し、救助を実践した都道府県は、国の要請に基
づいて、職員を被災都道府県へ派遣し、救助の支援や助言を行うこ
と。
(4)応援職員に対する職務の指示
ア 被災都道府県は、他の都道府県からの応援職員が被災地において
効率的な救助を実施することができるよう、応援職員が到着したと
きは、災害の概況を説明し、応援を受ける救助の程度、方法及ぴ期
間等を協議すること。
イ 被災地の状況により、被災都道府県においてこれらの対応ができ
ない場合は、厚生省又は国が設置した現地対策本部が対応する予定
であるが、応援都道府県相互間においても密接な連携を図り、救助
を実施すること。
3 被害情報の収集・連絡体制の整備
(l)被害情報の迅速な把握と違絡
ア 人的被害・住家被害等に係る情報は、迅速かつ効果的な救助を実
施する上での基礎的情報であることから、関係機関と緊密な連携を
図り、速やかに把握し、厚生省へ報告すること。
イ 特に、消防、警察、市町村との連携は、平常時から密接な連絡を
取り、緊急時の連携に支障を来さないように留意すること。
ウ 被害が大きく、あるいは夜間等のため、被害状況を正確に把握で
きない場合は、まず概数により報告すること。
エ 被害状況について概数により報告した場合は、その後、大幅に被
害状況が異なることを判明した時点や正確な数値を把握した時点で
速やかに厚生省へ修正の報告をすること。
オ 情報の混乱を避けるため、できる限り被害情報はlか所に連やか
に集約し、その結果を関係部局・関係機関へ伝達し、その後に公表
等を行う体制を整備しておくこと。
カ 行政機能に混乱が生じ、被災都道府県による被害状況の把握が困
難な場合は、厚生省からの要請、又は隣接する都道府県が自らの判
断により概括的に被害情報を把握し、厚生省へ連絡すること。
(2)多様な通信手段の確保
ア 都道府県、市町村間の情報収集・連絡を迅速に行うことができる
よう、防災業務無線、衛星通信システム、緊急回線等、地域の実情
にあわせ活用できる多様なルートによる情報通信手段を確認・整備
しておくこと。
イ 情報通信機器については、耐震対策を進めるとともに、停電の場
合にも機能するよう、必要に応じて非常峙の発電システムを整備し
ておくこと。
(3)情報担当職員に対する訓練
情報通信機器を的確に操作できるよう、平常時から担当職員に対し
実践的な訓練を行っておくこと。また、担当職員がいない場合も想定
し、できる限り幅広く関係職員に訓練を行っておくこと。
(4)緊急回線の活用
混乱時における有線電気通信設備等の優先利用等について、事前に
NTT等の関係機関と協議しておくこと。
4 災害救助基金の活用による備蓄
救助費用の財源に充てるため、法第37条により災害救助基金(以下、
「基金」という。)の積み立てが義務づけられているが、基金を活用し、
あらかじめ応急的に必要と考えられる食料、飲料水、毛布等の生清必需
品を備蓄しておくこと。
5 実施機関との連携
(l)救助のうち、死体の捜索・処理、被災者の救出、救護班による医療
提供については、消防機関、警察、自衛隊、海上保安庁、日本赤十字
社等との連携が必要であるため、これらの機関と緊密に連携すること。
(2)災害時の緊密な連携を確保するため、平常時からこれらの機関との
連絡等を密にしておくこと。
第2 応急救助の実施
l 避難所の設置
(1)避難所の指定
ア 避難所の指定に当たっては、当該地域の大多数の住民が避難す
ることを想定し、その量的な確保を図っておくこと。
イ 避難所として指走する施設は、原則として耐震、耐火、鉄筋構
造を備え、できる限り、生活面での物理的障壁の除去(バリアフ
リー化)された公民館等の集会施設、学校、福祉センター、スポ
ーツセンター、図書館等の公共施設とすること。
ウ 都市化の進んだ人口密集地域においては、管内の公共施設のみ
では避難所を量的に確保することが困難な場合があることから、
あらかじめ次により避難所の確保を図っておくこと。
(ア)企業が所有する施設等の協力。
(イ)都道府県内の市町村間での協力、連携。
(ウ)他の都道府県との災害援助協定等。
(2)利用関係の明確化
ア 避難所をあらかじめ指定しようとする場合には、当該施設の管
理(所有)者の理解・同意を得て指定するとともに、物資の備蓄、
災害時の利用関係、費用負担等について明確にしておくこと。
イ 学校を避難所として指定する場合については、学校が教育活動
の場であることに配慮し、避難所としての機能は応急的なもので
あることを認識の上、教育委員会等の関係部局と調整を図ること。
ウ この場合、文部省において「学校等の防災体制の充実に関する
調査研究協力者会議」による「学校等の防災体制の充実について」
(平成8年9月2日)の報告書を教育委員会あて配付しているの
で、これらを参考にすること。
(3)避難所の周知
ア 避難所を指定した場合は、広報紙等により地域住民に対し周知
を図るとともに、防災の日等に年1回以上は広報を行うなど、周
知徹底を図ること。
イ 避難所として指定した施設については、住民にわかりやすいよ
う避難所である旨を当該施設に表示しておくこと。
(4)避難所における備蓄
ア 避難所として指定した施設には、あらかじめ応急的に必要と考
えられる食料・飲料水、生活必需品等を備蓄しておくことが望ま
しいこと。
イ この場合、避難所に予定される施設は、他の用途に使用されて
いることから、施設の管理者等の理解を得た上で実施すること。
ウ 避難所における都道府県の備蓄については、基金による分散備
蓄と認められるので、基金を活用しての備蓄について検討するこ
と。
(5)避難所の設置
ア 災害が発生した場合には、あらかじめ指定した避難所の被災状
況、周辺火災の延焼の可能性、危険物の有無などの安全面を直ち
に確認の上、避難所を設置すること。
イ あらかじめ指定した避難所では不足する場合には、厚生省と協
議の上、公的宿泊施設、旅館、ホテル等の借り上げ等により実施
すること。
(6)通信手段の確保
被災者への情報提供や被災者相互の安否確認を行うため、避難所に
ラジオ、テレビ、電話、ファクシミリ等の通信手段を設置すること。
(7)避難所の生活環境の整備
ア 避難所を設置した場合には、避難生活に必要な寝具、被服、日
用品等を速やかに配布すること。
イ 避難所の設置期間の長期化が見込まれる場合は、必要に応じて、
次の設備や備品を整備し、被災者に対するプライバシーの確保、
暑さ寒さ対策、入浴及び洗濯の機会確保等、生活環境の改善対策
を順次講じること。
(ア)畳、マット、カーペット
(イ)間仕切り用パーティション
(ウ)冷暖房機器
(エ)洗濯機・乾燥機
(オ)仮設風呂・シャワー
(カ)仮設トイレ
(キ)テレビ・ラジオ
(ク)簡易台所、調理用品
(ケ)その他必要な設備・備品
ウ 物理的障壁の除去(バリアフリー化)されていない施設を避難
所とした場合には、高齢者・障害者等が利用しやすいよう、速や
かに障害者用トイレ、スロープ等の仮設に努めること。
エ 一定の設備を備えた避難所を維持するため、衛生管理対策を進
めるとともに、必要な電気容量を確保すること。
(8)指定避難所以外の被災者への支援
ア 関係機関等との連携、連絡先の広報等を通じるなどの方法を講
じ、指定避難所以外の施設等に避難した被災者の避難状況を把握
し、食料・飲料水、生活必需品等を供給すること。
イ 指定避難所以外に避難した被災者に対しては、仮設トイレや仮
設風呂等の設備が整い、各種の救助が確実になされる指定避難所
への避難について理解を得ること。
ウ 特に、救助活動の拠点となる施設等に避難した者については、
円滑な救助を確保する観点からも、できる限り速やかに指定避難
所への移転を図ること。
(9)避難所運営の手引(マニュアル)の作成
ア 避難所の運営が円滑かつ統一的に行えるよう、あらかじめ避難
所運営の手引(マニュアル)を作成し、避難所の運営基準や方法
を明確にしておくこと。
イ 手引(マニュアル)は、要員不足にも対応できるよう、災害救
助関係職員以外の者の利用を想定したものとすること。
ウ 手引(マニュアル)に基づき、関係機関の理解及び協力も得て、
平常時から避難所の管理責任予定者を対象とした研修を実施する
こと。
(10)管理責任者の配置
ア 避難所を設置した場合には、原則として各避難所に都道府県又
は市町村職員等による管理責任者を配置し、避難所の運営を行う
こと。
イ 災害発生直後から当面の間は、管理責任者として予定していた
者の配置が困難なことも予想されるため、本来の施設管理者を管
理責任者に充てることも考えられるので、施設管理者の理解を十
分に得ておくこと。
ウ 災害発生直後から当面の間は、管理責任者は昼夜での対応が必
要となることが予想されるため、交替ができる体制に配慮するこ
と。
エ 都道府県又は市町村職員等が、自らの被災や交通機関の途絶等
がはなはだしいため、十分に確保できないなどの理由で、管理責
任者を他に得る手段がない場合は、臨時職員の雇用も考慮するこ
と。
(11)管理責任者の役割
避難所の管理責任者は、概ね次の業務を行うこと。
ア 避難所に避難した被災者の人数、世帯構成、被害状況、救助に
当たり特別な配慮を要する者の状況等を可及的速やかに把握し、
被災者台帳を整備すること。
イ 被災者台帳に基づき、常に被災者の実態や需要を把握すること。
救助に当たり特別な配慮を要する者を把握した場合は、ホームヘ
ルパーの派遣、社会福祉施設への緊急入所又は福祉避難所への避
難等を行うための運絡調整を行うこと。
ウ 避難所に必要な食料・飲料水その他必要な生活必需品の過不足
を把握し調整するため、常に、市町村等の行政機関(災害対策本
部)や近接する他の避難所と連絡をとること。
(12)住民による自主的運営
避難所を設置した場合には、被災前の地域社会の組織やボランティ
アの協力を得て、自治組織を育成するなどにより避難者による自主
的な運営が行われるよう努めること。また、被災者による自発的な
避難所での生活のルールづくりを支援すること。
(13)防犯対策等
ア 避難所における個別的な需要の把握や、防犯対策を進めるため、
警察と連携し各避難所への巡回パトロール等を実施すること。
イ 避難所の治安・防犯等の観点から、真に必要やむを得ない理由
がある場合には、警備員等の雇用も考慮すること。
(14)避難所の早期解消
ア 避難所の設置は応急的なものであることから、避難所とした施
設が本来の施設機能を回復できるよう、できるだけ早期解消を図
ること。
イ 学校を避難所とした場合には、特に教育機能の早期回復を図る
こと。
ウ 避難所の早期解消を円滑に進めるため、応急仮設住宅を速やか
に設置し、被災者の避難所からの移転を進めること。
2 応急仮設住宅の供与
(1)建設用地の選定
ア あらかじめ応急仮設住宅の建設用地を量的に選定し、確保して
おくこと。
イ 応急仮設住宅の建設用地の選定に当たっては、原則として、
@公有地、A国有地、B企業等の民有地の順に選定すること。
ウ 応急仮設住宅の建設用地は、企業等の民有地についても、公租
公課等の免除を前提とし、原則として無償で提供を受けられる土
地とすること。
(2)立地条件の配慮
建設用地の選定に当たっては、上下水道、ガス、電気等の生活関連
設備の整備状況、医療機閲、学校、商店、交通、地域的なつながり、
騒音、防火等の面を総合的に考慮し、できるかぎり住宅地として立地
条件の適した場所に建設すること。
(3)利用関係の明確化
建設用地の選定に際しては、当該用地の所有者と設置期間や費用負
担のあり方等、用地の利用関係について明確にしておくこと。
(4)建設事業者団体等との協定
応急仮設住宅を迅速に設置することができるよう、あらかじめ建設
事業者団体等と応急仮設住宅の建設及び建設資材の提供等に関する協
定を締結しておくこと。
(5)応急仮設住宅の建設計画の策定
応急仮設住宅を計画的に建設するため、災害によって住家を滅失し
た被災者の住宅需要を可及的速やかに把握し、応急仮設住宅の全体の
建設計画を策定すること。
(6)必要戸数の供給
ア 災害が発生した場合には、建設事業者団体等の協力を得て、速
やかに必要な応急仮設住宅を建設すること。
イ 避難所の生活が相当に長期化しているにもかかわらず応急仮設
住宅の建設が著しく遅れる等のやむを得ない事情のある場合には、
厚生省と協議の上、公団・公営住宅の一時使用、民間アパートの
借り上げ等により実施すること。
(7)市町村間の広域調整
応急仮設住宅の建設に当たっては、規格、規模、構造、単価等の面
で市町村間で格差が生じないよう、広域的な調整を行うこと。
(8)住宅の仕様
高齢者・障害者等の利用に配慮した住宅の仕様はだれにとっても利
用しやすいことから、通常の応急仮設住宅にあっても物理的障壁の除
去された(バリアフリー)仕様とすること。
(9)個別の需要に応じた多様なタイプの住宅の提供
ア 個々の身体状況や生活様式、単身や多人数世帯等の世帯構成等、
様々な世帯の入居に対応できるよう、多様なタイプの応急仮設住
宅を提供すること。
イ 多くの応急仮設住宅を設置する場合は、安全性及び迅速性が要
求されるため、同一敷地内に同一規格のものを機械的に設置しが
ちであるが、設置後の街並みや地域社会づくりにも配慮し、安全
性及び迅速性を損ねない範囲内で、設置位置を工夫し、異なるタ
イプのものを組み合わせるなどの方法も検討すること。
(10)人居決定のあり方
ア 応急仮設住宅への入居決定は、個々の世帯の必要度に応じて決
定されるベきであることから抽選等により行わないこと。ただし、
入居の順番又は希望する応急仮設住宅への割り当て等については
必ずしもこの限りではないこと。
イ 入居決定に当たっては、高齢者・障害者等を優先することはや
むを得ないが、応急仮設年宅での生活が長期化することも想定し、
高齢者・障害者が集中しないよう配慮すること。
ウ 入居者に対し、応急仮設住宅は一時的に居住の場を提供するた
めのものであり、一定の期間が経過した後は撤去されるべき性格
であることを十分説明し理解を得ておくこと。
(11)地域社会づくり
ア 応急仮設住宅入居者が地域内で孤立しないよう、周辺住民との
交流等が図られるよう配慮すること。
イ 大規模な応急仮設住宅団地を設置した場合には、団地内の地域
社会づくりを進めるために自治会などの育成を図ること。
ウ 応急仮設住宅における生活の長期化が想定される場合には、一
定戸数以上の住宅においては、自治会活動などの地域社会づくり
の拠点としての集会施設を設置すること。
エ 集会施設は住民による自主的運営を原則とし、各種行事等のた
めに活用されるものであるが、行政、その他による生活支援情報
や保健・福祉サービス等を提供する場所としても活用すること。
オ 高齢者や単身入居者等の孤立しがちな者に対しては、自治会を
中心に、民生委員やボランティア等の連携体制(ネットワーク)
による見守り活動が行われるよう配慮すること。
(12)一般対策の充実
ア 関係市町村と連携を密にし、応急仮設住宅入居者に対して、保
健・医療・福祉、住宅・就職相談等、各種行政サービスを提供す
ること。
イ 行政サービスの提供に当たっては、関係者が相互に連絡を取り
合い、必要に応じチーム方式で対応するなど、関係部局の連携を
図ること。
ウ 被災者によっては精神的な打撃のため要望が顕在化しない事例
も予想されることから、民生委員、保健婦の訪問等[により要望
の積極的な把握に努めること。
エ 被災者の心的外傷後ストレス障害( Post Traumatic Stress
Disorder、PTSD)に対応するため、中長期的な精神保健対策
を実施すること。
オ 大規模な応急仮設住宅団地においては、入居者の日常生活の利
便性の向上を図るため、必要に応じて、商業施設の設置、路線バ
スの増発や新規開設等を行うこと。
(13)応急仮設住宅の早期解消
応急仮設住宅はあくまでも一時的な仮の住まいであり、経過的な状
況にあると認識し、次の点に留意の上、関係部局とも連携を図り、被
災者の恒久住宅への移転を推進・支援すること。
ア 恒久住宅需要の的確な把握
イ 住宅再建に対する支援策の周知徹底
ウ 公営住宅等の建設計画や入居条件等の早期提示とその周知
エ 高齢者等に配慮した公営住宅等の建設、社会福祉施設等への入
所等
オ その他住宅等に関する情報の提供
3 食料・飲料水の供給
(l)食料等の迅連な供給
食料・飲料水は避難生活に不可欠であることから、災害が発生した
場合に直ちにこれらを提供できるよう、備蓄の推進、他の都道府県と
の災害援助協定の締結、事業者団体等との物資供給協定の締結等を図
っておくこと。
(2)高齢者等に配慮した食料の備蓄
備蓄食料については、最近の食生活の向上と保存食の多様化を踏ま
え、乾パン等の画一的なものだけにならないよう検討すること。特に
高齢者、障害者、乳幼児、病弱者等の利用にも配慮し、創意工夫をこ
らすこと。
(3)食料の質の確保
ア 食料の供給に当たっては、長期化に対応してメニューの多様化、
適温食の提供、栄養バランスの確保、高齢者や病弱者に対する配
慮等、質の確保についても配慮すること。
イ ボランティア等による炊き出し、集団給食施設の利用等による
多様な供給方法の確保に努めるとともに、被災地の地元事業者が
営業を再開するなど災害の発生から一定の期間が経過した段階に
おいては、食料等の供給契約を順次地元事業者等へ移行させるな
どにより、適温食の確保に配慮すること。
ウ 一定の期間が経過した段階においては、被災者自らが生活を再
開していくという観点から、また、メニューの多様化や適温食の
確保を図るという観点からも、被災者自身による炊事が重要であ
ることから、避難所等における炊事する場の確保、食材や燃料の
提供、ボランティア等の協力や避難所内の互助体制等の環境づく
りを進めること。
4 生活必需品の提供
(1)被服、寝具などの生活必需品は避難生活に不可欠であることから、
災害が発生した場合に直ちにこれを提供できるよう、備蓄の推進、他
の都道府県との災害援助協定の締結、事業者団体等との物資供給協走
の締結等を図っておくこと。
(2)物資供給業者との連携、必要に応じた救援用物資集積基地の設置、
交通状況の把握など、生活必需品等の救援用物資を迅速に運搬・支給
する体制を早急に整備すること。
(3)(1)による調達物資のほか、義援物資が大量に搬入されてくるこ
とも考えられるので、調達物資との調整や、ボランティアとの連携を
含めた受け入れ体制、運搬・配付体制についても早急に整備すること。
5 医療
(l)救護班の編成・確保
災害発生直後、迅速に救護班の活動が開始できるよう、あらかじめ
公立病院、日本赤十字社等の協力を得て救護班を編成しておくこと。
また、必要に応じ地域医師会とも連携を図れる体制を整備しておくこ
と。
(2)医療資源の被災状況の把握
救護班による医療提供を的確に行う上で、被災地における医療施設
及び設備の被害状況、診療機能の可否の状況、医薬品及び医療用資器
材等の需給状況、交通状況等の情報が不可欠であることから、関係部
局とあらかじめ取り決めておき、これらの状況を速やかに把握できる
体制を整備しておくこと。
(3)救護班の迅連な派遣
ア 被災地の医療機能が混乱又は途絶した場合には、あらかじめ編
成しておいた救護班を被災地へ速やかに派遣し医療活動を行うこ
と。
イ 救護班の要員を十分に確保することが困難な場合には、医療機
関からの雇い上げ、あるいは法第24条の規定による従事命令に
より要員を確保すること。
(4)救護班の派遣要請
ア 被災都道府県は、自らが編成した救護班では救助の目的を達し
得ないと判断した時は、速やかに他の都道府県に対し、救護班の
派遣要請を行うこと。
イ 行政機能に混乱が生じ、被災都道府県が自ら救護班の派遣要請
を行うことができない場合は、速やかに厚生省へ連絡の上、派遣
要請依頼の調整を図ること。
(5)救護班の応援派遣
ア 被災都道府県と災害援助協走を締結している都道府県は、被災
都道府県の要請に基づき、又は状況に応じて自らの判断により救
護班を速やかに派遣すること。
イ 災害援助協定を締結していない都道府県にあっても、状況に応
じて自らの判断に基づき、被災都道府県の要請を待たずに救護班
を派遣することが望ましいこと。
(6)救護班の受け入れ調整
ア 被災都道府県は、被災地外の都道府県から派遣された救護班を
被災地内の医療需要に応じて適正に配置するための受け入れ調整
を行うこと。
イ 行政機能に混乱が生じ、被災都道府県が自ら救護班の受け入れ
調整を行うことができない場合は、連やかに厚生省に対し、救護
班の受け入れ調整を要請すること。
ウ 救護班の受け入れ調整は、地域の実情に詳しい保健所において
実施することが望ましいこと。
(7)自己完結型の活動
救護班は、初期の医療活動ができる限り自己完結的に行うことがで
きるよう、最低限度の医薬品や医療器材を携行するとともに、3日分
程度の食料・飲料水、その他の生活必需品等についても自ら持参する
よう定めておくこと。
(8)被災都道府県による調整下における医療活動
ア 被災地外の都道府県から派遣ざれた救護班は、被災地の都道府
県の調整に従い救護班の活動を行うこと。
イ 自らの判断により単独で被災地に入り医療活動を行う医療スタ
ッフに、被災都道府県の調整に従い救護班として活動を行うよう
要請すること。
(9)重篤な救急患者の搬送
救護班では対応が困難な重篤な救急患者については、被災を免れた
医療機関若しくは被災地外の後方医療機関へ搬送すること。
(10)医療需要に対応した医療スタッフの配置
救護班として派遣する医師の構成については、当初は外科・内科系
を中心に編成することはやむを得ないとしても、時間の経過に対応し、
適宣精神科の医師を加える等、被災地の医療需要を踏まえた医療を提
供すること。
(11)救護班による医療活動
救護班の医療活動に当たっては、短期間で交代を行うことも考えら
れるので、常に円滑な引き継ぎができるよう配慮して実施すること。
(12)救護班の撤収
ア 救護班により提供される医療は、あくまでも災害によって失わ
れた医療機能を応急的に代替するものであるため、被災地の医療
機能が回復し次第、現地の医療機関にその機能を移行させること。
イ 救護班を撤収するに当たっては、現に医療を受けている患者を
地元医療機関へ確実に引き継ぐこと。
6 埋葬
(1)広域的な実施体制の整備
地元火葬場の被災も想定し、広域的な火葬ができるよう、遣体の搬
送のための車両、ドライアイス、棺、骨壷等の確保、ヘリコプターを
活用した広域的搬送、他の都道府県との協力等の体制について整備し
ておくこと。
(2)迅速な埋葬
災害が発生した場合には、直ちに地元火葬場の被害状況を調査し、
火葬場の処理能力を把握し、火葬場の被災により地元で火葬が困難な
場合には、速やかに他の都道府県に対し応援を要請し埋葬すること。
(3)丁寧な埋葬
埋葬は災害時の混乱期による応急的な仮葬であるが、遺族の心情を
察し、できるだけ丁重な埋葬の実施を図ること。
(4)外国人の埋葬
埋葬を外国人に対して行う場合には、火葬を行うことに間題が生じ
る国があるなど、風俗・習慣・宗教等の違いから問題が生じるおそれ
があることから、できる限りこれらについて配慮し実施すること。
(5)相談窓口の設置
速やかな埋葬を希望する遺族に対し、必要に応じて埋葬のための相
談窓口を設置し、火葬場、遺体の搬送等の広域的な情報を的確に提供
すること。
7 遺体の処理
(1)遺体の収容
遺体を一時的に収容するため、遣体の収容場所、遺体の搬送のため
の車両、遣体の保存のためのドライアイス等を確保すること。
(2)検案体制の整備
死体検案については、警察との連携を密にし、検案を担当する医師
を遺体安置所に集中的に配置する等、効率的な実施を図ること。
第3 応急救助に当たり特別な配慮を要する者への支援
l 要員の確保
市町村福祉部局においては、膨大な災害関連業務が発生することが予想されることから、市町村に対し、救助と併せて、高齢者、障害者等の救助に当たり特別な配慮を要する者(以下、「要援護者」という。)ヘの支援対策を円滑に実施できる要員体制を確保しておくよう指導すること。
2 安否確認
要援護者に対する安否確認を可及的速やかに行うことができるよう、 市町村に対し次のことを指導すること。
(l)保健医療サービスや福祉サービスを受けている要援護者のリストを
整備するなど平常時から要援護者の所在lについて把握しておくこと。
(2)民生委員・児童委員、福祉関係団体、ボランティア団体等と協力し、
速やかに要援護者を安否確認できる体制をあらかじめ整備しておくこ
と。
(3)安否確認を行う上で、要援護者のプライバシーにかかわる情報を開
示する場合も想定ざれることから、あらかじめ災害時の情報開示につ
いて本人等から同意を得ておくなど、要援護者に関する情報開示の方
法を検討しておくこと。
3 避難所における支援対策
(l)避難所の物理的障壁の除去(バリアフリー化)
物理的障壁の除去(バリアフリー化)されていない施設を避難所と
した場合は、障害者用トイレ、スロープ等の段差解消設備を速やかに
仮設すること。
(2)相談窓口の設置
車椅子、携帯便器、おむつ、移動介助を行う者(ガイドヘルパー)
の派遣等、要援護者の要望を把握するため、避難所等に要援護者のた
めの相談窓口を設置すること。
(3)福祉避難所の指定
ア 要援護者(社会福祉施設等に緊急入所する者を除く。以下(3)、
(4)及び(5)において同じ。)が、相談等の必要な生活支援が
受けられるなど、安心して生活ができる体制を整備した福祉避難
所を指定しておくこと。
イ 福祉避難所として指定する施設は、原則として耐震、耐火、鉄
筋構造を備え、物理的障壁の除去(バリアフリー化)された老人
福祉センター等の施設とすること。
なお、特別養護老人ホーム等をあらかじめ指定することについ
ては、緊急入所等の場所を確保しておく必要があること等を考慮
して慎重に検討すること。
ウ 福祉避難所を指定した場合は、その所在や避難方法を要援護者
を含む地域住民に対し周知するとともに、周辺の福祉関係者の十
分な埋解を得ておくこと。
(4)福祉避難所の量的確保
あらかじめ指定した福祉避難所のみでは量的に不足する場合は、厚
生省と協議の上、社会福祉施設等や公的宿泊施設等に福祉避難所を設
置すること。
(5)福祉避難所への避難誘導
ア 災害が発生し必要と認められる場合には、直ちに福祉避難所を
設置し、被災した要援護者を避難させること。なお、要援護者の
家族についても、避難状況等を勘案の上、必要に応じて福祉避難
所に避難させて差し支えないこと。
イ 避難に介助等を要する者に対しては、家族、民生委員、地域住
民、都道府県又は市町村職員等が協力して介助等を行うこととな
るが、必要に応じて過度の負担とならない範囲で福祉避難所を設
置する施設等の協力を得ること。
(6)福祉避難所の管理・運営
ア 福祉避難所には、相談等に当たる介助員等を配置し、日常生活
上の支援を行うこと。
イ 福祉避難所において相談等に当たる職員は、避難者の生活状況
等を把握し、他法により提供される介護を行う者(ホームヘルパ
ー)の派遣等、避難者が必要な福祉サービスや保健医療サービス
を受けられるよう配慮すること。
ウ 常時の介護や治療が必要となった者については、連やかに特別
養護老人ホーム等への入所や病院等への入院手続きをとること。
また、このような状況を想定し、あらかじめ関係機関と連絡調整
しておくこと。
エ 福祉避難所の設置は、対象者の特性からできる限り短くするこ
とが望ましいことから、福祉仮設住宅等への入居を図るほか、関
係部局と連携を図り、高齢者世話付き住宅(シルバーハウジング)
ヘの入居又は社会福祉施設等への入所等を積極的に活用し、早期
退所が図られるように努めること。
4 福祉仮設住宅の設置
要援護者を対象として、必要に応じ、被災前の居住地に比較的近い地域において、保健福祉施策による生活支援を受けながら生活することができる要援護者向けの福祉仮設住宅を設置すること。
5 その他
在宅医療患者等、必要な薬剤・器材等(水・電気等を含む。)を得られないため、直接生命にかかわる者又は日常生活に重大な支障を来す者などの把握及び必要物資の提供について、関係部局・団体等と連携を図り特に配慮すること。
第4 情報提供
l 多様な情報提供手段の活用
避難所への掲示、防災放送の実施、広報誌(災害対策本部ニュース)の配布と併せて、地元のラジオ(臨時のミニFM局を含む)、テレビ、新聞等の多様な手段を活用し、正確・迅速な情報提供を行うこと。
2 障害者や外国人への情報提供
(l)障害者への情報提供
ア 障害者には情報が伝達されにくいことから、聴覚障害者に対して
は掲示板、ファクシミリ、手話通訳、文字放送等により、視覚障害
者に対しては点字等による情報提供を行うこと。
イ 障害者への情報提供に当たっては、障害者(支援)団体やボラン
ティア団体と連携し、情報提供を行うこと。
(2)外国人への情報提供
外国人には、日本語を解せない者や被災地の地理や事情に不慣れな
者もおり、必要な情報を得ることが困難と考えられることから、必要
に応じて、外国語による情報提供、通訳を配置した外国人向け相談体
制について配慮すること。
3 被災者の必要性に即した情報提供
(l)被災者が必要とする情報は、@避難誘導段階、A避難所設置段階、
B避難所生活段階、C応急仮設住宅設置段階、D応急仮設住宅生活段
階等、災害発生から時間の経過に伴い、刻々と変化していくことから、
これら被災者の必要性に即した情報を的確に提供すること。
(2)応急仮設住宅における生活段階等、災害発生から一定の時間が経過
した段階においては、恒久住宅の建設計画等の被災者が将来に希望を
持って安心生活ができるような情報を提供すること。
第5 ボランティア活動との連携
ボランティア活動との連携方法については、次によるほか、「災害時の福祉救援ボランティア清動に関するマニュアル」(平成8年10月1日)を参考とすること。
1ボランティア活動の受け入れ・連携
(l)被災者への救援物資の配布、避難所における炊き出し、要援護者の
安否確認やきめ細かな在宅生活支援等、災害時においてボランティア
が果たす役割は極めて大きいことから、ボランティアと積極的に連携
すること。
(2)ボランティアを迅速かつ円滑に受け入れることができるよう、ボラ
ンティアの行政窓口とボランティア活動の連絡・調整(コーディネー
ト)組織を明確に定め、その周知を図ること。
(3)ボランティア活動を支援するため、社会福祉協議会、ボランティア
団体等と連携し、刻々と変化するボ「ランティアの需要について把握
し、活動者に的確な情報を提供すること。
2 連絡・調整機能の強化
ボランティアに対する多様な需要に即応したボランティア活動が行われるよう、平常時から連絡・調整を行う者(コーディネーター)の養成・配置を行い、連絡・調整(コーディネート)機能を強化しておくこと。
3 活動基盤の整備
(1)ボランティアが安心して活動できるよう、平常時からボランティア
保険の普及、活動拠点の整備、活動資材の提供等に努めること。
(2)ボランティア活動の大規模化、長期化が予想される場合には、必要
に応じ活動費の助成等についても検討すること。
4 連携体制づくり
長期にわたって、継続的かつ効果的なボランティア活動が展開されるよう、平常時からボランティア団体や企業、労働組合等の民間団体相互の連携体制(ネットワーク)づくりを支援すること。
第6 救援物資・義援金
l 救援物資の受け入れ・配分
(1)被災者が必要とする物資の種類・量を速やかに把握し、それらが迅
速に被災地に集まるよう、報道機関等を通じて支援を要請すること。
(2)救援物資の受け入れを迅速に行うため、被災状況等を踏まえ、速や
かに物資の集積基地、配送ルート等を確保すること。
2 救援物資の送り方の周知
救援物資を円滑に受け入れることができるよう、救援物資の送り手である国民や企業等に対し、次のことを周知すること。
(1)品目別に区分して発送することとし、できるだけ単品で包みとする
こと。
(2)梱包を開かなくても内容がわかるよう識別表等により内容を表示す
ること。
(3)品物は新品が望ましいこと。
(4)大量の救援物資の受け入れ・配付については、ボランティアの活動
が不可欠であること。
(5)一定期間経過後は、被災者からは救援物資よりも義援金が望まれる
こと。
3 義援金の受け入れ・配分
(1)義援金の受け入れ・配分を適正に行うため、支援関係団体で構成す
る第三者機関である「募集・配分委員会」(仮称)等を設置すること。
(2)義援金の配分が終了した段階等で、第三者による監査の実施、配分
状況の公表等を行い、公平性や透明性を確保すること。
第7 住民に対する啓発
災害に備え、平常時から住民自らが次のことに取り組むよう、広報活動等を通じて啓発を行うこと。
1 避難所と避難経路の確認、非常時の持出品の準備、3日分程度の
食料・飲料水、生活必需品等の備蓄に努めること。
2 災害が発生した場合には、住民が相互に協力し、負傷者の救出、
安否確認、要援護者への支援、避難所の運営等に努めること。
3 要援護者自らも緊急時の連絡先の確認や地域社会との関係づくり
に取り組むこと。
北海道はこれまでも大きな災害に襲われており、昭和23年の災害救助法施行以来、災害救助法が適用された災害は、平成5年7月に発生した北海道南西沖地震までに115を数え、この間、多くの人命と財産が奪われてきています。
自然災害はいつ発生するとも限らず、日頃からの備えと災害救助法によ応急救助の円滑な実施が非常に重要なことは、これまで述べてきたとおりです。
特に、災害弱者の人たちに関する対応の必要性については、市町村、関係団体さらには道民のみなさんの中にも十分浸透しており、それぞれの立場で取組みが進められているところです。しかし、災害時の混乱の中においては、平常時には予想できない事態が発生するため、災害弱者に対する対応が十分とはいえない状況になることも想定されます。
このマニュアルでは、災害弱者に視点を当てて、災害発生時に主に市町村がどう対応すべきかについて述べてきました。
道においても、北海道南西沖地震や阪神・淡路大震災などを教訓に、北海道地域防災計画(地震防災計画編)を見直し、その中で災害弱者対策について新たに盛り込むなど、災害に対する備えに万全を期すようその体制整備に努めているところです。
今後とも、これまでの災害における経験を踏まえ、いつ起こるともしれない災害において、被害を最小限に押さえ道民一人ひとりの生命と財産を守るてめ、市町村への応援職員の派遣や関係機関との調整など、あらゆる協力を惜しまず、市町村との連携を密にしながら適切な対応に努めていく所存ですので、関係各位の一層のご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。
災害時における
高齢者・障害者等に対する支援対策マニユアル
編集 北海道保健福祉部総務課企画調整室
〒060−8588
札幌市中央区北3条西6T目
TEL 011−231−4111(内線25−145)
FAX 011−232−8368
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