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交通権を考える連絡協議会
会報第5号

(1994年2月18日発行)


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(1ページ)

平成6年度「交通権」に想う

〓〓〓今年も一人一人のパワーの発揮を〓〓〓

交通権を考える連絡協議会
会長 曽我 則明

 交通権連絡会に加盟している団体の皆様、個人加盟の皆様、平成6年の新しい年を、それぞれの想いで、そして願いを持って迎えた事でしょう。本年もよろしくお願いします。
 交通権の連絡会が、多くの障害者の人々の熱い願いで発足して早いもので、3年目を迎えようとしています。
 私は、今年の交通権連絡会は今までの運動成果が大きく実る年になると思います。JRが今年札幌-函館間で走る汽車に車イス用スペースの座席、トイレ等が設備された事とか、地下鉄の工レベーター設置等、民間のタクシー業務をしている会社の単独事業の拡大など、明るい光が差して来ています。これらの事等は今までの運動、活動が正しく評価されて市民権を得て来たと言う事になります。
 私はいつもこのような運動や活動をする人々は、身体も心も痛まないで長く続けていけるといいなと、仲間と会ったら仕事の疲れも忘れて、元気が出るヨナ!そう思っていたい。先日、北海道中小企業家同友会の新年交礼会に初めて参加しました。同友会では「豊かな人間牲を育てるために」と次のように要約された話を聞き、私は、どのような活動や運動をする時にも、とても大切な事だなと思いましたのであえて書きます。それは

①周囲から信頼され、他人に思いやりを持てる人。
②仕事と人生とのかかわりをしっかりと自覚し、仕事の中に喜ぴや生きがいを見い出すことが出来る人。
⑧物事を大局的な立場で本質的に判断でき自主的、創造的に対応できる人。
④心身共に健康で私生活を自ら律していける人。
⑤人とのふれあいを大切にし、積極的な謙虚さを持ってたえず成長を遂げていく人。

 私はこの話しを聞いてあらためて考えさせられました。人間の社会が続く限り、そして私達のこの運動が続く限り、どこまでもついてまわり、時代を超えて共通する願いなんだな……。そして私達の一番大切なのは、一人一人のはっきり見えるつながりをしっかりと創る事ですね。


(2ページ)

北海道と札幌市への要望書提出

《北海道》
事務局長 宮下 高

 交通権を考える連絡協議会では障害者の日の12月9日、北海道に対して13項目の要望書を提出しました。この日交通権からは曽我会長を初め6名が参加し、道からは地域福祉課長が対応しました。
 会として道に要望書を出すのは今回が初めて、内容は昨年10月に「交通権110番」設置の際の相談、要望項目をまとめたもので、「リフト付ククシーの運行業者に補助金を出してほしい。住宅と施設などをつなぐ障害者専用交通システムの整備、音響信号機の設置を関係機関に要請を、冬、交通手段のない障害者に特別タクシーチケットの助成を、点字ブロック上の自転車・物の放置の解消、看板・木の枝などの突起物の切断除去を、障害者とタクシー運転手とのチケットなどでのトラブルをなくすためハイヤー協会への要請」などどれも障害者にとっては切実な問題ばかりです。
 北海道は昨年3月に「障害者に関する新北海道行動計画」を策定しており、その中には「障害者や高齢者の利用に配慮した公共交通機関等の整備は遅れており、今後の住宅や公共施設の整備のみならず、住宅と施設などをつなぐ移動・交通手段の整備が重要な課題」と位置付けており、交通権の今回の要望書提出は時節にかなったものだったと思います。
 1月27日道から要望書の回答があり、かでる2.7で担当職員との回答に関する懇談会を開きました。その中で「リフト付きタクシー運行業者に対する助成については前向きに検討したい。交通システムの整備では市町村に福祉バス、在宅福祉サーピス車購人費助成事業の充実を検討したい。点字ブロック上の自転車・障害物の放置の解消については道路パトロールなどで安全管理に努め、道路利用のマナーの呼ぴ掛け、障害者など全ての人が利用しやすい道路環境整備に努める」などの回答がありました。長い目で見ますと障害者の要求にもとづいたこの様な運動を枯り強く続けることが、障害者運動の前進にもつなかり、世論を動かし大きな力になっていくと思います。




《札幌市》
副会長 後藤 昌男

 暮れの12月22日、私たちは札幌市役所において桂市長宛ての要望書を提出しました。市側からは民生局障害福祉課佐藤保課長が対応。
 この要望書は「いつでも、誰でもが、安全に、より快適に、より気軽に、行きたい場所に移動することかできる交通網」の実現をねがって、当会のこれまでの活動と特に昨年行った点検調査旅行や交通権110番の活動を通してまとめた29項目におよぶものです。
 項目毎に宮下事務局長からていねいに解説を加え、回答を文書で求めました。
 その場での市側からのコメントのおもなことは、地下鉄駅のエレベーター設置については、今年度設置した南北線真駒内駅、東西線二十四軒駅に次いで、来年度は東西線28丁目駅とひばりが丘駅に設置すること、さらに西18丁目駅・西11丁目駅についても調査中であることを明らかにしました。かねてから要望の強い北12条駅の整備計画は民生局サイドですすめているものの、用地問題等困難点が多いこと、南北線の階段の急勾配もそのためと附加説明がありました。大阪・東京・仙台など七都市ですでに運行しているリフト付市営バスの導入については、積雪寒冷地での除雪問題や運行路線の設定基準などの課題が多く、解決のため鋭意努力するということにとどまりました。低床バスの導入については、平成3年からの購入は全車低床式バスにしているとのことでした。
 さらに、折角ある制度を生かしてゆくことや見直してゆくことは大切な観点で、ククシー利用券及ぴ割引制度にかかわることや、リフト付きタクシー業者への補助金支給の問題で多くの意見交換がありました。タクシー利用券のトラブルについては、市としても協会に協力方の要請をしていて、6月から障害者手帳の提示だけでよくなったこと。9月からは苦情処理係を設けて応対していることなど、市としても努力している旨の説明がありました。
 その他、ロッキング工法タイル歩道の問題や点字ブロックの色、ガイドヘルパーのこと等々、私たちの切実な要望を強く訴えました。
 交通権を中心とした町づくりの課題は、移動制約者・交通弱者にとっては、自立生活・就労・医療・文化等全般に及ぶ生活のかなめであるからこそ、ねばり強い活動で要望を実現してゆかなければならないことを、あらためて痛感しました。
 尚、平成6年1月24日付けで市から当会に対し文書回答がありました。


(3ページ)


『交通権110番』

★★★相談内容報告★★★

 去る1993年10月16(土曜日)、17日(日曜日)の両日にわたって実施した”障害を持つ人、高齢者など移動制約者のための『交通権110番』”について、前回の会報(4号)で簡単に結果をお知らせしましたが、相談内容の集計結果を再度報告いたします。

受付件数(2日間):53件
■相談者について
性 別: 項目 件数障害別: 項目 件数
   29肢体   15
   21視覚   31
不明    3内部    4
合計   53不明    3
合計   53


■相談内容について
 項目 件数  項目 件数
道路   33バス   33
JR   18航空機    1
タクシー   28路面電車    3
地下鉄   23その他   25
合計  164

■種別と障害別のクロス
 下のグラフのように肢体の障害を持つ人は、道路への要望が36.8%と最も多い。視覚障害を持つ人では、バスが25.0%で最も多くこの他JRやタクシーなど種々の交通機関に分散してしる。内部障害の方では地下鉄(31.3%)とバスが多い。

グラフ「クロス集計」

■具休的相談の内容(内容が多いので一部を抜粋)
●バス 延べ件数 41件
□ステップが高い、低床バス、リフト付バスの導入・・16件
  圧倒的に多く、特に高齢者の方の要望が強いように感じます。
□音声案内を望む・・・・・5件
  車外への行き先案内の要望が多く、また、車内での停留所、料金案内の不明瞭さや
 案内の徹底を望む声も多い。
□運転手の対応,,・・・8件
  料金割引制度への対応問題。案内放送のズレや、不明瞭。その改善を求めたときの
 運転手の態度や対応の悪さ。バス停での停車位置のズレの問題。
 (健常者ならすぐ乗れるが、因ってしまう)ステッブの高さとの絡みから、縁石へも
 っと近づけて止めてほしいという希望など。
□積雪時の除雪と、バスの停車位置のズレ・,5件
 除雪の徹底と共に、バスの停車位置のズレは夏よりもっと切実な問題です。
□表示関係・・2件
  時刻表、料金表の改善。大型化、電光方式への改善など。
□設備関係・・5件
  バスの座席が狭すぎて、困る。札幌駅バスターミナルヘは、エレベーターがないの
 で行くのが困難。
  車内への入り口に手すりのない車がある。

●JR関係 延べ件数 19件
□施設・設備に関するもの・・6件
  駅のエレベーター、エスカレーター、スローブの設置を望む。列車のトイレに洋式
 のトイレもほしい。
□運用に関するもの・・7件
  せっかくあるエレベーターが荷物の運搬などで使えない時がある。身障者マークの
 駐車場が使えない事が多い。
□案内・表示に関するもの・・・・,4件
  時刻表、料金表を大きなものにしてほしい。エスカレーターに音声の案内がほしい。
□料金割引・・・,,1件

●地下鉄 延へ件数 22件
□表示に関するもの・・・・・8件
  出人口や、階段、段差の色分け、点字プロック設置を望む声が多かった。
□施設、設備に関するもの・・・,・8件
  エレベーター、エスカレーターの設置希望が一番多かった。内部障害(心臓など)
 の方々が階段の昇降に苦労されている。
□運用に関するもの・,・・・4件
  照明が不十分で特に弱視の方が階段、段差での歩行に苦労している。障害者席の位
 置が不適当で、乗り降りに不安。ドアの開閉時間の短い事で、乗りりに不安があり、
 利用できない。
□案内に関するもの・・・・・2件
  視覚障害の方が、唯一の手がかりのアナウンスに[:はっきり」「ゆっくり」と希
 望している。


4ページへ続く

(4ページ)

3ページから続く

●タクシー 延べ件数 28件
□料金割引に関するもの・・19件
 ○運転手の対応に関するもの13件
  身障者手帳での割引に素直に応じてくれない、つい利用をためらってしまう。タク
 シーチケットと、割引の併用が出来ないと断られた。手帳の提示だけでは駄目と断ら
 れた。
  嫌みを言われた。親切な運転手さんへの感謝の話もあった。

 ○会社の対応に関するもの・・1件
  室蘭の現役の運転手さんからで、10%割引をして、用紙を会社に提出したら、こ
 のような制度は何も聞いていないと言われた。割引制度への対応が会社によって違う
 事がある。会社の教育の徹底を望む声も多くあった。
□割引制度の改善に関するもの・・6件
  割引を手帳の提示だけで受けられるようにしてほしい。福社タクシー(大型車扱い)
 を利用できるようにしてほしい。割引率を上げてほしい。冬期間の特別助成を考えて
 ほしい。病院に人院中は福祉タクシーチケットがもらえないと聞いたが、もらえるよ
 うにしてほしい。

※タクシーに関しては、特に運転手さん本人や、奥さんなどからも電話があって、違う立場で悩みを持っている事を知らされました。

●道路 延べ件数 29件
□歩道上、点字ブロッグに関するもの・・8件
  歩道上の放置自転車、看板類、街路樹の枝などで、歩行が危険。歩道を走る自転車
 のマナーに関する事。点字ブロックの大きさや、形、色、設置方法を統一してほしい。
 歩道の色とはっきり区別できる色にしてほしい。
□信号に間するもの・・4件
  音声での案内がほしい。特に信号の変わり目がわかると助かる。
□舗装に関するもの・・5件
  最近流行のインターロッキング舗装は、
  ①車椅子では振動が多くて走りづらい。
  ②杖での歩行では杖が引っかかって歩きづらい。
  ③冬になると雪が詰まり滑り易く、危険だ。
□施設、設備に関するもの・・5件
  高速道路の緊急電話か高すぎて、しかも階段があるために使えない。高速道路のパ
 ーキングエゾアに車椅子でも便える公衆電話を設置してほしい。一般道路、高速道路
 に、車椅子用のトイレを作ってほしい。

●電車 延べ件数 3件
□ステップ、段差に関するもの

●飛行機 件数 1件
  酸素ボンベを使用して飛行機に乗りたい。

●その他 延べ件数 20件
  移動、交通に関する事の他、様々な悩みを待ってくる人が大勢いました。
□携帯電話の構入に助成をしてほしい。出先での緊急連絡に便利だ。
□いろいろな公共施設の駐車場の利用に関する苦情。
□外出時の介助サービスを求める人。




■各交通機関自治体に対する電話問い合わせ結果(一部)
問い合わせ先
内    容
回       答
JR時刻表の改善と客車トイレの改善要望として伝える
福祉課福祉タクシーに割引券が使えない現状では不可
施設管理課道路沿いの公衆トイレの改善要望として伝える
地下街コンコースの床と柱の色合い要望として伝える
道路管理課ロッキング工法のタイル歩道の改善要望として伝える
点字タイルの改善要望として伝える
市交通局地下鉄アナウンスの改善要望として伝える
地下鉄南北線階段が急で危ない要望として伝える
航空各社酸素ボンベ使用者の利用は可能か基準内ならOK(資料取り寄せ)
かでる2・7介助者運転の駐車料金を無料に道の運営規則で現在はだめ。要望を検討する
開拓の歴史村入り口段差の改善を入り口右側よりスロープ利用可能となっている


『事務局だより』

11月 6日  事務局員会議  かでる2・7 15時~1時
   16日  事務局二役会議 高橋宅    18時30
12月 4日  事務局員会議  かでる2・7 15時~
        忘年会     サンルートニュー札幌
    9日  北海道要望書提出
   22日  札幌市要望書提出
 l月13日  事務局員会議   かでる2・7 18時30分
   27日  北海道要望書回答 かでる2・7 13時~
 2月18日  事務局員会議   かでる2・7 18時30分~



『編集後記』

 国会では予算編成もそっちのけで「政治改革!」を叫び土壇場で「エッ?」と聞き返したくなる様にして成立。
 次に出て来たのは『国民福祉税』である。3%から7%に…?確か消費税の時も福祉目的税とか言っていた。3%も年間では相当な額になる。これが全て福祉のために使われたのならば、もっと住み良くなっているのではないだろうか。大切な事が一日で決まってしまうとは……。国民に聞こえの良い様に、看板だけを取り替えるのではなく、問題は看板よりも内客である。
 日々、僅かな収人の中から否応無く払っている税金である。「貴方の支払った税金はこれこれに使い、明細 はこうなりました」なんて事になっだらスッキリするだろう。


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