(1997年4月30日発行)
(1ページ)
第4回交通権110番と点検を行って
小谷晴子
今年の冬は昨年の大雪と違い、1月までは極端な少雪でその後は例年並みとなりました。昨年があまりにも大雪だったため雪の少なさが目立ったように見えましたが、反面ツルツル路面のことが多く、人が歩くのも車が走るのも大変だったのではないでしょうか。
そんな中3月1日(土)2日(日)の両日「第4回交通権110番」と「点検」を行いました。今年はどんな電話が来るかと期待と緊張とで会長をはじめ事務局員と会員と9名が待機し初日をスタートしました。
「110番」の一日目は電話件数16件で内容的には26項目について、2日目は電話件数3件で内容的には8項目について、公共交通機関(JR・バス・タクシ−・地下鉄・飛行機)、建物、トイレ、道路、除雪、ヘルパー制度についてなど要望、質問、情報と多くのご意見をいただきました。
電話の件数は今までの「110番」の件数と比べるとかなり少ない結果となりました。準備期間が短く広く地域に情報が流せなかったり、アピール不足などの反省点が多くあります。
しかし件数は少なかったですが一人一人の貴重なご意見をいただいたわけですから、その声に関しては各関係機関に要望し、質問に対しては調べて答えて行きたいと思います。
「110番」は直接話ができて具体的な問題や要望の切実な声を聞くことができます。今回の反省点をふまえて、これからも一人の大切な「声」を聞くために「交通権110番」を続けて行きたいと思います。
同時に札幌市内のJR駅三か所(札幌、琴似、星置)と地下鉄駅二か所(大通り、11丁目)の点検に行きました。札幌市内にはJR駅26駅あるうちエレベーターなど障害者用設備がされてある駅は数か所しかありません。地下鉄はかなりの駅にエレベーターが設置されてきましたがまだ完全ではありません。路線バスは低床バスが導入されて来たようですが二段目のステッブが高くて高齢者や足が不自由な者は乗降しずらく車いすはまったく乗ることができないといった現状です。
「110番」の中でも数多く寄せられている身近かな公共交通機関の点検と改善要望の必要性を強く感じます。今回は点検も札幌市内の5か所だけで「110番」も2日間だけでしたが、困ったこと聞きたいこと情報などありましたら、いつでも事務局の方へ連絡していただきたいと思います。
(2ページ)
報 告
第4回交通権110番
3月1日(土)
電話件数16件
相談者状況 車いす11名 装具杖使用にて歩行2名 聴覚障害1名
健常者1名 不明1名
3月2日(日)
電話件数3件
相談者状況 車いす3名
項目別集計
JR
・エレベーターのない駅での駅員の介助の対応
前もって連絡していたが人手がたりないのでかならず介護者と来るよう
に言われた
・駅員の連絡ミスで着いた駅で反対側の車両で駅員が待機したため降りる
のに苦労した。車両番号で連絡すれぱミスはおきないのでは
バス
・地下鉄との乗継ぎ券の使用が大通駅でできないのはなぜか
啓明ターミナルからバスに乗り大通駅で地下鉄南北線に乗換えたいが乗
り継ぎ券が使えないため東西線西11丁目駅で乗り換えて、また南北線
に乗換えている
・市営バスは乗降口の両側に固定された手摺があるが、その他のJRバス、
中央バス、定鉄バスには片側に固定された手摺があるがもう片方はドア
に掴まるしかなく不安定だ
タクシー
・福祉チケットの便い方
一度に何枚も使えるように
他市町村で使えなく不便
助成額を増やして
・障害者が乗っても嫌な顔をしないで
・小樽市のリフト付きタクシーが1台しかないので数を増やして
地下鉄
・東西線大通駅ホームの階段横の通路が狭く車いすで通ると怖い
・東西線菊水駅にエレベーターを付けて
飛行機
・乗継ぎのとき会社が異なると空港内で車いすの乗換えをしなければなら
なく大変
・ボディチェックのとき義足といってもチェックされて不快な思いをした。
人目が気になる対応策はないが
建物
・かでる2・7の駐車場障害者スペースを車いすだけでなく障害に合わせ
て使わせてほしい
・身体障害者福祉センターのような施設を市内に数軒ほしい
・ホワイトドームができるが障害者用設備を整えて
・温泉施設の脱衣所も障害者用設備を整えて
・内開きのドアは車いすは不便
・車いすでは地下街からデパート(三越・パルコ・ロビンソン)に入れない
・地下街から狸小路へ行く工レベーターがない
トイレ
・公共トイレの男女各ひとつずつ少し広く車いすが入れるトイレを作って
・ドアに数センチの隙間がありそこの職員に言ったら、そのぐらいがまん
しなさいと言われた
道路
・ロッキング工法の歩道は車いすで動きずらい
・小樽の運河周辺の石畳の遊歩道が車いすで動きずらい
除雪
・病院付近とくに交差点の除雪を徹底してほしい
・手押しポタンの所の除雪を
・車道と歩道の間に雪山があってタクシーや車の乗降ができない
公衆電話
・FAXを設置してほしい
情報
・ホテルグリーンピア大沼にハンディキャップルームが2室ある
・昨年、開発土木研究所というところから歩道工事のため車道に仮歩道を
作るので車いすで通れるが試してほしいと障害者に依頼があった
その他
・国内の障害者旅行のツアーを行ってほしい
・障害者用エレベーターの操作盤の位置を車いすの肘掛けくらいの高さに
してほしい
・在宅ヘルーパーの時間を増やしてほしい。個人で探すのは大変
(3ページ)
点 検
3月1日(土)
・JR琴似駅
障害者用トイレ、エレベーター、エスカレーターなしホームヘの階段は駅員で上げる。19時30分以降は駅員が2人になるのでお客さんに頼んで対応する
駅舎までの除雪が悪く車いす一人では行きにくい。駅員の対応は良いJRの総務にどんどん要望を出して行ったほうが良い(駅長談)
・地下鉄東西線二十四軒〜大通
大通駅ホームの通路が狭く車いすで通るのはこわい
西11丁目駅はエレベーターがつき便利になった
札幌市身体障害者福祉センターと二十四軒駅間の歩道が雪で通れない
車両に車いすスペースが一か所しかないが、もう一か所くらいあれぱ良いと思った
3月2日(日)
・JR札幌駅北ロエ事中仮スロープ
東側スロープは急斜面で西側スロープは比較的通りやすいが車いす一人で上がるのは難しい
・JR星置駅
駅に駐車場がないため隣のダイエーの障害者用駐車場に車を止める。北口から入ると10メーター以上あるスロープを4回上がり改札に着く。改札後はエレベーターが2基ありホームに降りられる。
エレベーターは桑園駅と同じで入り口が変わる型
南口は北口と逆で入り口から改札までスロープを降りる。朝早くと18時以降は駅員が一人になるので、その時間帯はなるべく避けてほしい、できれば前もって連絡してほしいとのことでした。
障害者用トイレあり
点検者車いす2名で行ったが一人は自力で、もう一人は介護者に押してもらいスロープを上がった。自力で上がった者も荷物を持ったら一人では上がれないとのこと。スロープの他は階段なので杖の者、高齢者、病人などかなり大変と思われる。
広いスペースでスロープが作られているのでエレベータ−の設置は充分できたと思われるが、なぜスロープになったのか疑問に思う。
・ダイエー
障害者用トイレあり。妊婦さん、小さな子供、高齢者のマークも表示されており、子供用便器、ベビーベッドも設備されていた。
店舗は一階だけで二階は駐車場になっていて二階には平面エスカレーターで上がるが、後ろに支える者がいれば車いすも上がれる。
入り口の近いところに障害者用駐車場を用意してくれているが、一般の車が多く駐車していた。これはモラルの問題であるが・・・
WE'LL VOL6より
「ウニとぼたん海老」
観光地として人気の小樽には「寿司屋通り」がある。近くに漁港があることもあって、ネタは新鮮そのもの。すしを食べ慣れた人でも、この界隈を歩いていると、思わずヨダレがこぼれてくるとか・・・?
なかでもおススメしたいのが寿司屋通りにある「政寿司」小樽本店だ。水島さんは札幌市内在住だが、機会があれば小樽を訪れて「政寿司」を利用している。「車いすのままで気軽に行ける寿司屋って、珍しいですよね。この店はエレベーターやトイレも完備していて、使いやすい個室もあるんです」。
直接お店に電話してみると、ママさんの中村和枝さんがていねいに説明してくれた。「先代の社長が糖尿病の影響で足を切断しまして、それがきっかけで車いすの方にも気軽に利用していただけるお店にしようと改装を始めたんです」
昭和13年の創業の小樽本店を改装した後、先代社長は11年前に他界したが、2代目の中村全博さんが意志を継ぎ、同じ市内の運河店も平成元年に改装、本店は7年に再度改装した。
車いすでの利用は多く、老人ホームのお年寄りを団体で定期的に招待することも。「スプーンをご用意したり、ご要望によっては小さく切ってお出しすることもできますよ」とのことで、対応は手慣れている。
肝心のお寿司の方だが、5月から8月は積丹のウニが旬。自慢のぼたん海老は蒸したものではなく、生がド〜ンと乗っかる。人気は1900円の盛り合わせ。コースは3500円から。
紹介者/水島明さん(北海道札幌市)
政寿司本店
小樽市花園1−1−1
рO134−23−0011
(第3火曜休、11:00〜22:00)
政寿司運河店
小樽市色内1−2−1運河ビル
TEL 0134−22−0011
(第3木曜休、11:00〜22:00)
(4ページ)
「スーパーおおぞら」帯広駅点検報告 1997.4.19
木下祥子
スーパー北斗(札幌〜函館間運行)が振り子式のため、通常の車両よりもホームと車両の隙間幅が広く、視方障害の方が隙間に足を落とす事故が発生している。
3月運行の新車両スーパーおおぞら(札幌〜釧路間)も振り子式車両であり、同様の事故が予測されるので帯広車いすの会ではJRに改善要望を出しているが、交通権を考える連絡協議会としてもJRに対して要望等を行ってほしい。との連絡があり役員・事務局会議で検討してJRに照会する等はしましたが、運行日も迫つていることもあり、帯広に説明している以上の回答は得られませんでした。
そのため実際に乗車し点検をして、その結果をJRに要望することとして点検旅行を計画しました。
今回の点検がホームと車両の隙間幅がきっかけであることから、視力障害の方に呼びかけましたが、都合のつく方がいないため、車いす3人、その他4人の合計7人が、日帰りで実施しました、以下概略を報告します。
まず、ホームと車両の隙間幅の確認を行うことから始めました。
ホームに停車中の通常型車両の場合隙間幅は16〜17センチメートルであるがスーパーおおぞらは23センチメートル。
目の不自由な場合圧倒的に多い通常型車両の感覚で足を移動すると落ちる場合があることを理解しました。
車内の通路は車いすでは通れない幅で(53,5センチ)、また車内に塔載の介助型車いすでもスーパー北斗同様通路は通ることが出来ませんでした。
多目的室が出来たので電動車いすを置く等に使えますが鍵を掛けてあるので、車掌に申し出ての使用になります。
車いすトイレに緊急ボタンがあるが、インターフオン等での会話は出来ないので緊急連絡が通じているかどうかの不安を感じます。
乗務員はとても感じよく応対してくれました。
しかし、一人乗務で、検札等の業務に一時間程かかるため、下車時以外の協力を頼むのは難しいと思いました。
スーパー北斗の詳細については別の機会に報告します。
帯広では、3月にスーパーとかちに乗車した車いす乗客に対するJRの不手際を記事にした十勝毎日新聞の記者と車いすの会会長と懇談する事が出来とても有意義でした。
(5ページ)
本道初!
NO STEP BUS(ノンステップバス)
旭川市で稼働
平成9年3月20日から旭川に北海道では初めて市内の路線に「ノーステップバス」が走り出しました。
運行に先立ち、一般公開があると言うことで行つて見て乗ってきました。
この聞き慣れないノーステップバスと言うのは文字通りステツプが無いと言う意味なのだが、バス停の歩道の高さと、バスの床の高さが同じと言う超低床式バスのことです。つまりバスの中に階段が無いのだ。
このバスは定員75名(座席25+立席49+乗員1名)の近距離路線用に作られたバスで、路面からバスの床までの高さが30センチと低いのと、必要なら車高を7センチ下げることが出来る装置もついている、と言う優れ物だ。
床も平らで最初に足を踏み入れたら段差も凹凸も無く車いすももちろん、視力障害者も不安無く車の中を移動できる。乗降口の幅も実際計って見たら、95センチあり車いすも楽に入れる広さになっている。
旭川電気軌道がこのバスを導入する計画を立てたのは今から3年前で計画から導入までいろいろな問題があったそうです。一番困った問題はこのバスを導入して果たしてどれだけの障害者が利用してくれるか?冬の除雪はどうするか?歩道の縁石ぎりぎりまで車を着けるには?バスを停留所にぴったり付けるにはかなり長い距離が必要になり、停留所の近くに車が止まっていればそれだけで近づけられない。等々いろいろあったが、「とにかくやってみよう、机上論では問題は解決しない」。民営の企業でも地域で繁栄して行くには誰にでも愛される企業でなければならない。この考えが今回このバス導入の原点だそうです。
今回10台購入し、病院や福祉施設を通る経路に配置運行します。「まだ完全な物でないことは十分承知しているが走らせた上で利用してくれる市民の意見を採り入れてもっともっと利用してもらいやすい物にして行きたい」。
最後にこうも言っていました。「民営の私たちが出来たのに、公営の札幌市がまだやっていないのは不思議だ、本当なら札幌市が一番速いはずなのに」。
実際乗ってみて感じたことは、バスが停留所に近づく、縁石ぎりぎりに付ける関係で乗客の頭がバックミラーにぶつかりそうになる。待つ人は少し下がって待つ必要がありそうだ、ドアが開く、車体がすーっと下がる。なんと!縁石と平らになってしまった。後は車いすを漕いで行けば自然にバスの中に入って行ける。気になる様なら、キャスターを少し上げてやればよい。
走行中も車高が低いのとワイドエアサスの効果も相まって揺れが少ない。
今回旭川電気軌道が導入したタイプはスロープが付いていないが、オプションで車いす専用電動スロープ付きのタイプもある。少し車いすの操作に慣れ、そして道路の環境が良くなり、歩道との隙間が狭くなればスロープを必要としないほど平らになる。心配なのは車いすを固定しないタイプなので急プレーキの時に掴まる手すりをもっと頑丈な物にしてほしい。
中乗り、前降りなのだが、料金箱が邪魔をして車いすが前の出口に行けない、そのため乗務員が運転席を離れ、車いすの人の料金を愛け取り降りたのを確認して運転席に戻るそのほんの少しの時間の無駄を無駄と考えず、他の乗客が快く受け入れてくれるだろうか?。
今、旭川は交通機関のバリアフリーの第一歩を踏み出した、後はそれを取り巻く環境のバリアフリーが望まれる。
私たち障害者もバリアフリーが完成されてから行動するのではなく、自らがバリアフリーを進めるバイタリティが必要だ。
フロンティア=開拓者
ボランティア=支えてくれる人
私たちが福祉のフロンティアになろう。
Yoshida
(6ページ)
交通権を考える連絡協議会 '96年度総会案内
総会
月 日 平成9年6月15日(日)
時 間 午後1時〜2時45分
場 所 かでる2・7(中央区北2条西7丁目)
8階特別会議室
学習会
時 間 午後3時〜5時まで
場 所 総会と同じ、「かでる2・7」8階特別会議室
演題 交通問題に関する障害者の権利とは?
講師 石田 義明氏(予定)
交流会
時 間 午後5時15分〜6時15分
場 所 「かでる2・7」8階特別会議室
☆総会、学習会、交流会とも同じ会場で行います。
大勢の参加をお待ちしております。
|
案内アナウンス、弱者に不可欠
24日のこの欄(道新、読者の声)に「空港に不必要な案内アナウンス」との意見が掲載されていましたが、私はわずかに見える程度の視覚障害者で、空港内の電光掲示板も見えないし、発着時刻を調べることも容易ではありません。確かに目も見え、耳も聞こえる人にとつてはうるさいと思いますが、音を頼りにしている者もいることを忘れてほしくないと思います。
現に案肉のないい列車を利用し、間違えて別の駅で降り、夜も遅かったため、とても心細い体験をしたことがあります。案内の放送があっても近くで声高におしやべりをされていると、聞こえません。そんな時は周りの状況が見えないので、不安が広がるのです。最近はバスターミナルでさえもバスの行き先を放送してくれない所が多く、行き先が違う2系統以上のバスが発着する時はとても不便を感じています。このように案内の放送を頼りにしている者も少なからずおりますので、最低限の放送をしてほしいのです。
健常者にとってなんでもないことでもわれわれ障害者にとってはとても大変なことが多々あります。外見では分からない視覚障害の人もいます。
障害者はそれなりに苦労しているのです。
事務局だより
2月20日 身障センター 午後6時30分 交通権会議
110番最終確認、用品準備、横断幕等の確認
3月12日 かでる2・7 午後6時30分 交通権会議
110番の反省、スーパーおおぞら乗車の参加者確認
4月19日 スーパーおおぞら点検乗車 札幌〜帯広
4月22日 かでる2・7 午後6時30分 交通権会議
スーパーおおぞら点検乗車結果報告
総会準備及び学習会内容検討、講師候補選定。
『編集後記』
先日、空港の案内について新聞に載っていた。不必要だ・不可欠だと。
健康で仕事に追われ、疲れている人にとっては騒音以外の何物でも無いのかも知れない。私自身、障害を持った仲間達と共に歩んでいなければ、同じことを考えたのだと思う。
健康な人にとって、つまらない何でもないことが、それぞれの障害により些細なことでも音声・文字・人手による案内など、言われて気づく事も多い。
賛否両論あるのも、もっともな事である。やはり、どんな立場の入でも不自由なく行動が出来るのが皆にとって暮らしやすいのでは・・・。
(K)
|