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交通権を考える連絡協議会

会報第31号

(2001年11月30日発行)

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目   次

◎JR北海道に「要望書」を        
         提出し懇談(1〜2p)
◎「JR点検に参加して」
・・・北海道視覚障害者協議会 吉田重子(2p)
◎DPI世界会議札幌大会
     プレ大会アピール(3p)
◎「交通権110番」の要請書に対する
     札幌市よりの回答(4〜5p)
◎ひまわり号inニセコ温泉に参加して(6p) ◎都心バリアフリー点検(6p)
◎市民の声を行政に
   2001年度「要望書」提出(6p)
◎バリアフリー、障害者が点検
      【北海道新聞記事より】(7p)
◎訪問介護事業所「たんぽぽ」紹介(7p) ◎事務局だより、編集後記(8p)


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JR北海道に「要望書」を提出し懇談
=当日、新札幌駅と手稲駅を点検=

 10月21日、「交通権を考える連絡協議会」と、「障害者の生活と権利を守る北海道連絡協議会(障道協)」と共催で実施されたJR点検・懇談活動は、車椅子の人、白杖の人を含む18名が二班に分かれ、新札幌駅を点検。手稲駅を点検後、それぞれ札幌駅に乗り入れるというかたちで行われた。
 要望書は「交通権110番」の要望を中心に、障道協と協議し作り上げられた、ホームの安全対策、駅舎のトイレを重点要求とした(別記)。JR側の対応は、設備改善グループ・副課長・同課企画部・総務部グループリーダー・サービス推進グループリーダー。
 懇談はJR北海道本社(桑園駅)で行われ、今後に多くの課題を残しながら継続的に話し合いを行うことを約束し、有意義な懇談を終えた。

要望書の内容は次の通り。


2001年10月17日
北海道旅客鉄道株式会社
社長 坂本 真一様
障害者の生活と権利を守る
  北海道連絡協議会(障道協)

会長 細川 久美子

交通権を考える連絡協議会
会長 後藤 昌男


要望書

 障害をもつ者が、社会参加するうえで、交通網や建物の利用は、特に欠かすことのできない条件です。このことは、高齢者、子供、一時的な障害者(骨折者、妊産婦など)にとっても同じです。
 私たちは、障害をもつ者が「利用できない」「利用しづらい」のハンディをなくし、誰もが安心して生活できるバリアフリーの社会を実現するために活動を続けてきました。
 今日、交通バリアフリー法の制定に伴い、移動空間がよりいっそうバリアフリー化されることを大いに期待するとともに、移動制約者、交通弱者といわれる全ての人を対象に、義務規定とし、年次計画や数値目標を具体的に明らかにして、この法の推進に当たって欲しいことを切望しております。
 また、公共交通機関をはじめ、交通企業にあっては、「移動円滑化基準」の実現に向けて、速やかな対応を願うものです。
 こうした活動の中、私たちはこのたび「JRの点検及び懇談」を実施いたします。その点検結果にもとづく要望は、懇談時、口頭で付加することにし、下記の要望事項をあらかじめ提出致しますので、よろしくお願い致します。

◆要望事項 (重点要望)
1.駅ホームからの転落事故防止のため、安全柵(可動式ホーム柵)を設置してほしい。
2.ホーム要員の終日配置を行ってほしい。
3.JR札幌駅内に障害者トイレを増設してほしい。また一般トイレも障害者が利用できるように改善してほしい。

(点検結果の要望・口頭にて)
 JR札幌駅について
 JR新札幌駅について
 JR手稲駅について

(その他の要望)
1.道内全てのJR駅にエレベーターを設置してほしい。またその年次計画があれば知らせてほしい。
2.エレベーターのない駅には、エスカレーターを設置してほしい。
3.ホームと列車のすき間の解消、車両とホームの段差解消を行ってほしい。
4.JR新札幌駅に身障者用無料駐車場を設置してほしい。
5.全ての駅に誘導チャイムシステムを設置してほしい。
6.車両内に、車椅子使用者と介助者の座席、及び身障者用トイレを設置してほしい。また、車椅子が通れる通路に改善してほしい。
7.百キロ制限をなくし、特急・寝台料金割引制度の拡充をはかってほしい。
8.交通運賃割引制度の対象を、精神障害、てんかん、難病などの患者にも拡充してほしい。
9.誘導ブロックの誤敷設を改修してほしい。
10.駅員のエスカレーター介助について、十分な訓練を願いたい。
11.施設・設備の設置計画には、障害をもつ当事者の意見を反映するようにしてほしい。
12.車椅子利用者の乗車降車の把握と連絡体制を確実にしてほしい。
13.JR上野幌駅を、車椅子で利用できるように改善してほしい。
14.JR恵み野駅のホーム屋根の設置、列車とホームの段差解消、通行マナーの指導を徹底してほしい。

以上


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JR点検に参加して
北海道視覚障害者協議会
吉田 重子


 10月27日に行われた、JR駅の点検活動では、二班のうち、新札幌、札幌駅の点検に参加した。今回の点検では、他の障害(車椅子使用)者の方々の課題をもとに確認し、理解し合う、というメリットはあったが、一方では、この点検活動の目的が拡散してしまった感もあり、少し残念であった。
 いうまでもなく、車椅子使用者にとっての改善事項は、建築物の構造上の、物理的バリアが主であり、一方の視覚障害者にとってのそれは、情報のバリアが主であって、目には見え難い形になっている。
 首都圏などでは、半数を超える視覚障害者が駅ホームからの転落を体験し、不幸にして、死亡する例も希ではない。
 かねてから、「道視協」は、(加盟している中央の「全視協」とともに)その安全策として、駅ホームへの可動柵の設置を、重要な要望事項の一つとしてきた。
 先日、ホーム転落事故に関して地裁で敗訴の判決が出た全盲青年の事例で、事故後、病室を訪れた交通局の方が「あなたが、どうして、立入禁止と書いてあって、通行人の行かないホームの端に進んでいったのか理解しかねます。あなたの事故について、私どもには一切過失はありません。(以下省略)」といったという話があるが、これは、特別な例ではないようだ。今回、新札幌駅を案内していただいた駅員の方に、私たちは、ホームを常に恐怖感を抱きながら歩行していること、可動柵が理想だ、という旨のことなどを話し掛けると、「点字ブロックがありますから、それを踏み越える可能性とか、それは常識の範囲を超える話であって」などといわれてしまった。
 折悪しく、そこで、電車が到着し、その方とは、それでお別れになってしまったが、これが一般的な認識ではないかと感じた。
 視覚障害者が、誘導ブロックの上を歩いていないという場合、二つのケースが考えられる。
 一つは、ブロックに沿っていたものが、人や危険物をよけたりしているうちに、はずれてしまったという場合。もう一つは、ブロックが設置されていないところまで来てしまったが、その事に気づかずにいる、という場合とである。誰も、あえて、危険地帯に近づこうとしているわけではない。視覚障害者は、安全確認の手段を閉ざされた、感覚機能の障害であるということを啓蒙していかなければならない。
 多額の経費を要すること、多様な車種を利用しているなど、安全対策実現への課題は大きいが、事実として、ホームの安全は、視覚障害者に関わらず、他の人たちも危険な目に遭っているということ、そして、事故が起きてからの対策ではなく、事故を予防するという根本的な対策を要望していかなければならないことを再確認する1日であった。



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みんなの力を結集して大会を成功させよう!
一年前プレ大会から 札幌アピール

 第6回DPI世界会議札幌大会の開催まで、一年前となる11月3・4日の両日にわたって、開催地である札幌において一年前プレ大会を開催した。
 500人以上の参加者を見たこの大会では,DPI世界議長のジョシュア・マリンガ氏を招き、障害者の権利条約の必要性と重要性を論じあい、さらに条約と密殺に結びつくわが国における障害者差別禁止法・障害者権利法の制定に向けて多くの障害当事者ならびにその関係者が力を合わせていくことを確認した。
 完全参加と平等をうたった1981年の国際障害者年以降、国連においては1983年からの「国連・障害者の十年」と世界行動計画、1993年の「障害者の機会均等化に関する基準規則」の策定とそのモニタリング等、障害者の権利の拡大、ならびに障害者の生活条件の改善に向けた取り組みが多様な形で行われてきた。しかしながら、未だに世界中の多くの障害者が、障害を理由にした様々な差別に取りかこまれ、人権が無視された状況に置かれ続けている。特に、途上国では多くの障害者が極端な貧困状況にあり、また、障害をもつ女性など複合的な差別に直面している人々も多数いる。
 こうした状況の改善を図り、障害者の社会的地位の向上にむけてそれぞれの国や地域が具体的な取りくみを展開していくためにも、障害者の権利条約の制定が急務であることを私たちはあらためて認識した。
 平和な社会こそが、人としての権利が守られ尊重される社会である。そうした信念に基づき、私たちは戦争と貧困の根絶を求める。
 今回の集会で、私たちは、「権利」、「移動」、「教育」、「介助」、「ジェンダー」という障害者の存在と生活にとって密接なテーマにそって、多角的な検証を行い、真に障害者の権利が尊重される社会システムと、当事者主体の生活条件整備を行うための道筋を追求した。障害者の人権が尊重され、権利を正当に行使して社会生活を営むためには、障害者一人ひとりが他の地域住民と同等な経済的な基盤や労働・教育といった社会参加の機会が完全に保障されることが必要不可欠であるという認識に立つものである。
 今回の集会で得られたそれぞれの結論をより深め、より強固なものとしていくことが求められている。国際的な障害者権利条約、並びに国内法としての差別禁止法の制定に向けた動きを確かなもとして、「あらゆる障害を取り除き、違いと権利を祝おう!」をテーマに開催されるDPI世界会議札幌大会において大きな飛躍を勝ち取るための日常的な取りくみを強めていかなければならない。
 この集会に集まった私たちは、第6回DPI世界会議札幌大会の成功、ならびに障害者権利条約の制定と障害者差別禁止法の創設に向けて、国内外の障害者とその関係者が力を合わせていくことをアピールする。

 2001年11月4日

第6回DPI世界会議札幌大会一年前プレ大会参加者一同



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「交通権110番」の要請書に対する回答(その2)

 札幌市から、次のような回答がありました。回答文をそのまま掲載しますので、回答に対する意見や感想をお寄せ下さい。次回の行政懇談に活用させてもらいます。(今回は、道路・地下鉄関係だけにします。)
 会報本紙ではスペースの関係で、途中までの掲載ですが、Web版は全文を掲載した、レポートがありますので、そちらへリンクします。   「札幌市よりの回答書」


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「回答書」の続きです。


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ひまわり号inニセコ温泉に参加して

 10月27日(土)〜28日(日)、両日とも好天に恵まれる中、ひまわり号inニセコ温泉に参加してきました。
 福祉バスを借りきって車内では歌やゲームなど盛り沢山のイベントがありました。
 旅の途中にも僕は自主点検! 中山峠のトイレは、車椅子用のトイレが設備されていましたが、スロープ入口には段差があり、危険だと思いました。
 トイレタイム後、紅葉を眺めながら、一路ニセコいこいの村に向かいました。
 ニセコについてホッと一息、そして目玉の入浴。広い露天風呂で、とても極楽気分でした。
 この、いこいの村は新しくてバリアフリーになっており、とても使いやすかったです。ただ、途中の廊下には坂道があり大変な所が見られました。
 その夜は、カラオケや二次会で大盛り上がりでした。次の日は余市、ニッカウヰスキー見学。試飲ウイスキーに酔いしれる人もいて、とても楽しい旅行でした。実行委員の皆様、そして、ボランティアの皆様どうもありがとうございました。(辻)





都心バリアフリー点検

 DPI世界会議を来年に控え、札幌都心の歩道・交差点(20カ所)の改修が大々的に行われている。12月上旬に終わる予定。
 勾配が2%以下になるように歩道を削り、車道を重ね上げする等して工事を進めている。
 11月10日(第一回)・17日(第二回)にわたって、私たち「交通権」・市身障福祉協会の障害者団体と、札幌市、請負業者の三者による合同点検が行われた。
 私たちは利用者の立場でたくさんの意見や要望を述べたが、行政・工事関係者は、熱心に耳をかたむけてくれた。
 これを機に、市内全地域のバリアフリー化が進むことを願ってやまない。
 また、工事中の仮歩道も安全に通れるよう配慮を忘れないでほしい事も要望した。
 有意義な点検であった。(G)





市民の声を行政に届け、改善・改修を求める。

==2001年度「要望書」提出==

 2001年度の「交通権110番」に寄せられた意見・要望を60項目にまとめ、9月27日「市民の声を聴く課」を通し、札幌市長に提出しました。
 当会としては、担当各課からの文章回答を得て、それをもとに重点項目をしぼり行政懇談会に持ち込むことにしています。
 要望項目は、道路関係11、地下鉄関係13、JR関係1、公共及び公的施設関係15、市営住宅関係2、制度関係3、合計60項目。内容は、回答と一緒に後日会報掲載します。


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バリアフリー障害者が点検
交差点と歩道の段差 解消された?(北海道新聞の記事から)

 札幌の都心部にある横断歩道のバリアフリー化工事の状況を点検するため、障害者らでつくる市民団体「交通権を考える連絡協議会」(後藤昌男会長)のメンバーたちが17日、工事が進む交差点などを見て回った。
 参加したのは車いす利用者と札幌市職員の合わせて15人。工事関係者の案内で、北5西7から北5西1間での800メートルの区間を歩いた。10日札幌市役所付近でも同様に実施しており、2日間で計20カ所の歩道・交差点を点検した。
 交差点の歩道部分と横断歩道の境目の傾斜がきつい所もあり、障害者らは「車いすで利用しやすいよう改修してほしい」との意見が出た。
 工事を進める札幌市は意見を踏まえて改修を進め、年度内に完成させる計画だ。

(北海道新聞11月18日朝刊より)



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事務局だより

 7月10日  交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
 7月14日  第4回歩道点検 札幌市道路維持課           9:00
        参議院選挙公開質問書 候補者に発送
 7月24日  参議院選挙公開質問書 回答 会員に発送
        交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
 7月25日  「かでる2・7」利用団体会議(かでる2・7)    19:00
 8月 7日  交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
 8月11日  歩道点検 札幌市とDPI移送部会          10:00
 8月21日  交通権移送サービス準備会議             10:00
        (札幌アシストセンター・マザー内)
 9月 4日  障道協と交通権JR点検懇談会 打ち合わせ
 9月27日  札幌市市民の声を聴く課に要望書提出
        北海道運輸局 交通アドバイザー出席         19:00
        交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
10月11日  交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
10月13日  市民カレッジ「バリアフリーを考える」        10:00
        障害当事者講師として参加
10月20日  市民カレッジ「バリアフリーを考える」        10:00
        障害当事者講師として参加
10月21日  障道協と交通権JR点検 懇談会           12:00
10月24日  交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
11月3・4日 DPI 1年前プレ大会               12:30
11月 7日  「豊平公園」緑のセンター内 障害者用トイレ改造提案 13:30
11月 8日  千歳春日公衆便所設置工事
        障害者用便房レイアウト変更の要望書提出
11月10日  第1回DPIに向けて札幌市歩道改修工事点検     10:00
11月13日  交通権事務局会議(かでる2・7)          19:00
11月17日  第2回DPIに向けて札幌市歩道改修工事点検     10:00





編 集 後 記

 初雪も降り、今年も残りわずか。今まで、手薄だった事務局にも新しい仲間が増え、それぞれの得意分野で“力”を発揮して、ますますパワーアップ!!事務局全員ひと安心しています。
 歩道の改修工事が進み、少しずつ変わっていく歩道を、体で感じてみてはいかがでしょう。私達が街に出て、動く事に意味があると思います。さあ、みんなで街に出掛けよう!

(M)

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