去る、6月10日(土)午後2時より開催された『交通権を考える連絡協議会』総会の報告です。総会に引き続き行なわれた、学習会・講演会については次回のレポートで、お届けします。
交通権を考える連絡協議会
1995年度年次総会(第4回)
式次第
1.開会挨拶・・・・・吉田 穣
2.会長挨拶・・・・・曽我 則明
(要旨)
皆さん、本日は土曜日のお忙しいところ、本当に沢山お集まりいただき、有り難うございます。
今回は第4回の総会となります。交通権を考える連絡協議会の今迄の取り組みの中で、行政や一般の市民の皆さん地域の中に少しづつ根っこがついてきて、成果が少しづつ出てきていると、実感しています。
「交通権110番」とか「点検活動」とかで、力をつけてきたのだなあと、考えています。皆さんとお会いするのは随分久しぶりです。私ごとですが、昨年「福祉工場」が出来て以来、頑張って来たのですが、色々なことがあり、私にとっては大きな出来事でした。色々な方々、多くの方の励ましや、お力を頂いて、今、冬眠から覚めた熊の様な心境で、交通権の会長としても、今年は一所懸命頑張って行かなければならないと思えるまでになりました。
今年は色々な角度から物事を慎重に見ながら、皆さんと一緒に頑張って行きたいと思っています。
実は、新しい職場を求めて北見の方へ行く機会がありJRを利用しました。朝のオホーツク3号という列車に乗るために、いつもの様に20分位前に札幌駅へ行き、駅員さんに、この列車に乗りたいと伝え、いつものように駅事務室の外で待っていました。駅員さんの勘違いで内と外の引き継ぎが巧くいっていなかったという理由で、エレベーターを降りた時には既に列車が発車した後でした。
駅の事務室で「面接の為に、どうしてもこの列車に乗らなければならないのだ」と言った。旭川での長い停車時間を利用して、これに追いつき、旭川駅では駅員さんが貨物用エレベーターで3番ホームまで付いてくれ、列車にはスロープを設置して待っていてくれる。と言う具合でなんとか2時の面接に間に合いました。
この体験から、私の切なる願いが通じたのか、あるいは私達の「交通権」の運動が少しは浸透してきたのか、、、。とにかくJRでも障害者に配慮してくれるようになったと思います。
この運動を障害者だけでなく、一般の皆さんにも、もっと広げていく必要があると強く感じています。特に行政に対しては私達の願い・考えを、頑張って力強く行動を起こさなければ伝わって行かないのではないかと感じました。
3.議長選出・・・・・事務局提案によって、山本博子さん(札幌いちご会)を選出
4.議 事
@ 第1号議案
1994年度事業活動報告・・・・・事務局長:宮下 高
1.JR北海道スーパー北斗及びタクシーを利用した函館点検旅行10月9・10の両日、ひまわり号を走らせる札幌実行委員会のスーパー北斗に同乗させて頂き、障害者に配慮されたと言われる列車の点検と函館のホテルまで旅行する上での問題点の点検旅行を実施した。この旅行には会員・ボランティアなど12名(電動車椅子4名、手動車椅子2名)が参加した。まずスーパー北斗は障害者用トイレが設置されているが、中は車椅子の幅より少し広めで、段の上に便座が置かれている状態で車椅子から乗り移ることが困難、後ろ向きの状態で引き戸を閉める事になり車椅子使用者は一人では利用できない。また、車椅子用スペースが一列車一ヵ所しかなく車椅子数人の利用の場合は一般席の利用となり、車両通路は車椅子が通れないのでトイレに行く事が出来ない。函館駅からホテルまでの交通はリフト付きタクシーは事前に予約しないと利用できない。普通タクシーでは電動車椅子は分解しなければ乗れないので、ホテルまで1時間かけて歩く。途中、電動車椅子が故障すると言うハプニングが有り、これは自転車屋さんで修理してもらいましが、まだまだ気軽に旅行できないことを実感する。
(なお、この点検旅行に関しては94年交通権レポート第8回を参照してください)
2.交通権110番
前回に引き続き「交通権110番」を9月3・4日にかけて曽我会長宅で行う。相談件数は2日間で55件と前回と同じで、肢体不自由者が40件と圧倒的に多かった。相談項目はその他が23件と一番多く110番の相談内容の広がりを見せている。次いで道路の19件、地下鉄18件、タクシー10件、バス10件と続き全体として市内交通問題が多くなっているように思う。道路では歩道の傾斜がきつい、バス停の除雪、テカテカ道路の解消や車の歩道乗り上げ駐車、放置自転車などのマナーに関する問題。
地下鉄では就職が決まったが地下鉄にエレベーターがなく通勤ができない。(この方には直接お会いして話しを聞きました。冬道も一人で歩いた事がないなどのことも有り、就職は諦めたとのことでした。)全駅にエレベーターを設置してほしい(8件)などの相談がありました。
(※94年交通権レポート第7回参照)
3.冬の街札幌の点検活動
1年の3分の1が雪の北海道、この時期でも障害者が外に出られる環境をつくろうと冬の点検活動を2月19日に行う。朝9時にかでる2・7ロビーに集合して、打ち合わせをしたのち9時30分視力障害者、車椅子使用者の4コースに別れ出発した。当日はあいにくのベタ雪。歩道、バス停留所などの除雪はされていない。あまりの悪条件にスタッフもどこをどう見たら良いか判断に迷うような状態で、車椅子使用者は泥沼にはまった車のように雪にぬかって身動きがとれない、この様な日には障害者は外に出ることは出来ないのだろうか。今回は初めての事であり点検のポイントがよく分からない部分があったが、冬は時期により雪質などの条件が異なり1回の点検では分からない。これからも「冬の点検」を続けて関係機関に改善を求めていく粘り強い運動が必要である。
(※95年交通権レポート第2、3回参照)
4.学習会・講演会の実施
ベンチレータを使用し、飛行機で大阪の集会に参加した、佐藤きみよさんの報告会と函館点検旅行と冬の街札幌の点検活動のビデオ報告を行う。
(佐藤きみよさんの報告会の模様は次回のレポートで詳しく行ないます。
また、ビデオ報告会は時間が足りなくなって残念ながら中止されました。)
5.会報の発行
年4回発行(6〜9号)はクリアしたが、財政的なやりくりに苦労した。
6.会員拡大
入会申し込みのリーフレットを作成し個人会員の拡大を進める。その結果、正会員20名と賛助会員5名の新たな会員が増える。
7.財政活動
個人会員の拡大やバザーにより昨年と同程度の財源確保は出来たが、まだまだ不十分であり個人会員の拡大や企業などからの大口寄付が必要である。
(質 疑)
質問:(第3種郵便の資格)HSK加入について、考えてはどうか?
回答:まだ定期発行までに至っていないためもう少し時間が必要と思う。
質問:点検旅行のリフト付きタクシーの利用の件で、事前に調査してから行っ
た方が良かったのではないか。
回答:今回は、一般の旅行と同じ感覚で行きたかったので敢えて調査はしなか
った。
質問:交通権110番で、電話とFAXとではどちらの相談が多かったのか。
回答:FAXの相談は零でした。
質問:冬の街点検で、点字ブロックが雪で隠されてしまう問題ですが、全面ロ
ード・ヒーティングにしなければ解決しないのではないか。
また、スタッドレス・タイヤになってから、道路管理者も除雪に注意深
くなったようですが、除雪した後、沿道の住民が雪を押し出すなどの問
題があります。行政だけでなく、住民へのPRが必要なのではないか。
回答:一部のロード・ヒーティングでは、段差の問題を解決しなければなりま
せんが私達としては全面ロード・ヒーティングされれば一番良いと考え
ています。沿道住民の理解を得るためには私達がPRするのは難しいと
思います。やはり行政側でPRして欲しいと期待しています。
◎質疑の後、出席者多数の拍手で承認されました。
A第2号議案
1994年度会計報告・・・・・会計:石川 祐治
<省 略>
(質疑)
質問:会報の部数600部は会員数に比して多すぎるのでは、少しでも節約が
可能ではないのか。
回答:出来る限り多くの方にPRしたいと考え、会員の手渡しなどを活用して
いるので、郵送費はあまり余分にかけてはいません。
また、印刷費については、一定数以上の印刷は余り変わらないのでこの
部数にしています。残部については、総会や色々な活動の際にPRに使
用しています。
◎出席者の多数の拍手で承認されました。
1994年度会計監査報告・・・会計監査:高橋 雅子・川島 守
1995年3月25日、会計監査を実施のところ、現金・帳簿・証拠書類共に正確に経理されていることを証明いたします。
B第3号議案
1995年度事業計画(案)・・・事務局長:宮下 高
今年度は、以下の事業に取り組みます。
1.「交通権110番」を屋外の移動がもっとも困難な「冬期」に実施します。
2.「スーパーとかち」で「帯広ツアー」を行い、車両および駅舎をはじめ市内の主要施設を点検します。
3.上記二つの事業の結果をまとめ、各関係機関に要望書を提出します。
4.「移動制約者」の交通問題についての「学習講演会」を、幅広い層に呼び掛けて開催します。
5.会報「交通権を考える」を、年4回をめどに定期発行します。
6.幅広い層の個人・団体に呼び掛けて、会員の拡大をはかります。
7.公的・民間の助成制度の活用を積極的に行うなど、財政活動の強化につとめます。
(質 疑)
質問:点検ツアーの時期を知りたい。
回答:9月か10月の連休を利用してやりたいと考えているが、なるべく速く
決めて皆さんに連絡したい。
質問:法人化を考えてはどうか、(企業などの)寄付などがやりやすくなるの
では。
回答:法人化はなかなか難しいと思うが、もう少し活動を続けていく中で考え
て行きたいので時間を欲しい。
曽我会長談話:
私の個人的な繋がりですが、例えば北大の工学部で「交通を考えるゼミ」が有ります。また私は運輸省の交通問題委員会のアドバイザーをしていますが、このように各方面で考えられているので、このような方達と懇談会などが出来ればいいなと考えています。
◎この後、出席者多数の賛成で、可決されました。
C第4号議案
1995年度予算(案)
<省 略>
◎出席者多数の賛成で、可決されました。
5.議長解任
6.閉会挨拶・・・・・副会長:我妻 武
(要 旨)
議長の山本さん本当にお疲れさまででした。それから会場の皆さんも本当にお疲れさまです。
皆さんのお陰で新年度の総会も無事終了する事が出来ました。これからも曽我会長のもと、活動して行きたいと思いますので皆さん宜しくお願いします。
総会の度に少しずつですが、新しいメンバーの方が見えられていて心強く思っています。引き続き佐藤きみよさんの報告が行なわれます。ご一緒に旅行の報告を聞きながら交通権の事を考え、活動に繋げて行けたらと思っています。どうか宜しくお願い致します。長い時間本当にご苦労様でした。
<来 賓 挨 拶>
札幌市議会議員:YT(市民ネットワーク)
皆様今日は、お久しぶりです。昨年のパネルディスカッションに参加させていただいた市民ネットのYTです。
お陰さまで、4月の統一選挙で再び当選させていただき、また議会で活動を始めました。
札幌市の「障害者福祉計画」の策定にあたり、私共も随分提案をしてきました。この席にも「策定懇話会」に参加された方もおられると思いますが、「策定懇話会」の結果をどのように計画に反映させたのかが、見えるようにすべきだ、情報を途中で返していって、どういう形で計画が作られていくか、、。その透明化を求めて来たのですが、とうとう途中経過の公表なしで、いきなりこの計画が出来てしまいました。
先日中身を見ましたが、残念ながらこれまでの政策の羅列に終わっていて、目新しい物が余り見られない。今後はこの計画を絵に描いた餅に終わらせないで、どう予算化し、具体化するかが課題だと思っています。
又、残念ながら5月の議会が終わった途端、人事移動で民生局長始め全部の部長が移動してしまい、これまで長い時間をかけ信頼関係を築き、議論出来る関係を創って来た方達が余りいなくなってしまいました。もう一度関係作りから始めなければならなくなりましたが、皆様と共に交通アクセスの充実を含め福祉計画の実現の為に私共市民ネットワークも力一杯頑張って行きたいと思います。
総会のご成功を祈り、ご挨拶とさせていただきます。
札幌市議会議員:IS(日本共産党)
総会にお集まりの皆さんこんにちわ、市議会議員のISです。
昨年10月地下鉄東豊線が延長になった際、車椅子の方々にとってどのような状態なのか、点検活動をご一緒させていただきました。その時も福住駅でのエレベーターの設置がちぐはぐであるという事で、早速議会で取り上げましたが、先程の会長さんのお話しにありましたように、行政への働きかけが大事であると思います。
私が9年前に市議会に初当選して、真っ先に言われたのがトイレの問題でした。例え地下鉄・バス・JRなどで外へ出ても、車椅子でトイレを使えないために、我慢をして、お腹を痛くして帰ってくる、と言う実態を出されまして、最初にやった仕事が「雪まつり」のトイレでした。あの当時まだ障害者用のトイレが有りませんでしたので、仮設のトイレを設置する事でした。
今では各所に障害者用のトイレが出来ましたが、まだまだ不足しています。交通権を考える事と合わせて、トイレの事も考えていきたいと思ってます。
今後も皆さんのご要望をお聞きして、どんどん議会活動に反映させて行きたいと思います。
私の信条になっている『障害者福祉の充実』の為に今後も働いていくと決意させて頂きまして、今日のご挨拶とさてて頂きます。今日はお招き頂きましてどうも有り難うございました。
参議院議員:TY (日本共産党)
総会にお集まりの皆さんお久しぶりです。参議院議員のTYです。
「強い者には味方が要らないけれど、弱い者には味方が要る」これが亡くなった父の言葉で、私の弁護士としての原点でもありました。今、政治家としての原点でもあります。皆さんと共に障害者の皆さんが一人の人間として社会に完全参加、そして平等をと考える時、行政が余りにも立ち遅れている。その問題にご一緒に取り組んで参りました。私は障害者の皆さんに行政の光が当たる時、初めて全ての国民一人ひとりが大切にされる社会になると確信しているから皆さんと力を合わせて参りました。
この総会で、様々なご要望をいただき、勉強させていただいて、皆さんとご一緒に皆さんと同じ目の高さで、物を見、そして感じ、何が必要なのか、何が足りないのかを出来るだけ現場にご一緒させていただき、考えて参りました。リフト付きバスの問題94年の運輸委員会で取り上げて以来、大臣に会うたび何度も働きかけて参りました。95年度の予算折衝で、リフト付きバスの購入について国の補助制度が確約され、95年度予算で実現しました。北海道では積雪の問題から難しいといわれましたが、全国の実態を調査し、東北の仙台では同じ様な積雪地帯にもかかわらずリフト付きバスが走っている事を知り、これを基に実現を迫ったのです。このように皆さんと一緒に勉強していく事の大切さを学びました。
交通権というのは、衣・食・住と同じ位大切な基本的人権なのだという言葉に感銘を受けまして、とりわけ私は運輸委員ですので、この交通権の確立という問題を重視して取り組んで参りました。交通権の確保なくしては、ノーマライゼーションも空文句に終わると思うからです。
今日は佐藤きみよさんのお話しを非常に楽しみにしています。というのもストレッチャーでの航空運賃が大阪まで30万円以上もかかるという異常に高い事を知って、その事を2月21日の運輸委員会で取り上げ、3月10日の委員会の大臣答弁で、スピード改善という事で、大阪の集会に間に合って良かったと大変喜んでいます。これも皆さんの運動の大きな力があってのことと思います。
公共交通機関でのFAXの設置や、運賃割引の範囲を広げる問題など、皆さんと手を結んで一つ一つ改善させることに大きな喜びを感じながら、まだまだ行政が立ち遅れていると思い、皆さんと一緒に頑張って行きたいと思います。
今日の総会が皆さんの活発なご議論で成功されることを祈るとともに、これからも皆さんと一緒に頑張る決意を述べてご挨拶とさせていただきます。
【以上】
交通権を考える連絡協議会規約
(名称)
第1条 本会は交通権を考える連絡協議会と称する。
(目的)
第2条 本会は障害を持つ人、持たない人、高齢者の分け隔てなく全ての公共
交通機関が利用出来るようにあらゆる人達と手を結び社会的な権利とし
ての交通を確立するための運動を行うことを目的とします。
(事業)
第3条 本会の事業は次の通りとします。
1.各団体が行った交通機関に関する調査・点検活動を取りまとめ関
係機関に対し「移動制約者」が利用できるように改善の申入れを行
います。
2.交通問題に関するシンポジュウムの開催。
3.各団体との経験交流や情報交換などのための会報を発行します。
4.その他本会の目的を達成するために必要と認められる事業を行い
ます。
5.本会の趣旨の普及に努め、会員の拡大を行います。
(会員)
第4条 本会の目的に賛同し、本会の規約を認める個人、団体であれば誰でも
入会出来ます。
(総会)
第5条 本会は年1回の総会を開催し、予決算、事業計画などを決定する。会
長が必要と認めた時、及び会員の過半数が請求する時は、臨時総会を招
集できます。
第6条 総会の議決は総会参加者の過半数の賛成で可決されます。
第7条 総会では役員の選出を行います。
(役員)
第8条 本会に次の役員をおく。役員の任期は2年とします。
1.会 長 1名
2.副 会 長 2名
3.事 務 局 長 1名
4.事 務 局 次 長 2名
5.会 計 1名
6.会 計 監 査 2名
なお、必要に応じて事務局員を若干名おきます。
第9条 会長は会を代表して会務を処理し、副会長はそれを補佐しかつ会長に
事故ある時はこれに代わります。
第10条 事務局は総会決定の日常業務を行い事務局長がその責任を持ちます。
第11条 会計は会の財政、会計を処理し会計監査はそれを監査します。
第12条 役員会は会長が必要に応じて招集し、会計監査以外の役員で構成しま
す。
役員会は総会後の運営に必要な事項を決定します。
第13条 本会の趣旨に賛同し、財政支援の意味において賛助会員をおくことが
できます。
(財政)
第14条 本会の財政は会費および賛助会費、寄付金、広告などでまかないます。
第15条 会費は年度当初、途中入会にかかわらず以下の通りとします。
1.個人年会費 1,000円
2.団体年会費 5,000円
3.賛助年会費 3,000円
4.会費等は当該年度中に速やかに払い込むものとし、途中退会とし
ても会費は返却しないものとします。
第16条 会計年度は毎年4月1日に始まり翌年の3月31日に終わります。
(付則)
この会則は1992年7月12日より施行します。
総会は、以上で滞りなく終わりました。この総会に先立って来賓からの挨拶
がありました。以下にその要旨を掲載します。
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